炎の一筆入魂BACK NUMBER
鈴木誠也は内野ゴロでも全力疾走。
非でも脱でもない「着・完璧主義」。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/07/21 11:50
打撃成績は上位に入るも、チームは7月に入って4勝10敗1分と苦戦が続いている。
「4番があれだけ走っているんだから」
鈴木誠也が見せる全力疾走に、広島ナインは感化されているとチーム最年長の石原慶幸は認める。
「過去に足を手術した誠也がどんな点差でも全力疾走している。あの姿はきっと、みんな見ている。チームの4番があれだけ一生懸命走っているんだから手を抜けない、と思っている選手は多いと思う」
まだ言葉で何かを伝える年齢ではないかもしれない。ただ、本人は気付いていない間に、もうすでに背中で語れる選手になっていたのかもしれない。
ユニホームを脱げば、笑って欠点もさらけ出せる明るい25歳。そんなギャップが大きな魅力でもある。だからこそ、完璧主義でもチームに軋轢は生じない。もしかしたら鈴木誠也は、グラウンドにおいてのみ完璧主義を身にまとう「着・完璧主義」なのかもしれない。