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オカダ・カズチカがなぜ古臭い技を!?
“コブラクラッチ”の先のIWGPと猪木。
posted2020/07/07 17:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
オカダ・カズチカが古典的な絞め技にかなりのこだわりを見せている。
コブラクラッチホールド。相手の腕を絡めてのスリーパーホールドであって、現在のプロレスでは地味に映るものだ。だが、今、オカダはこの技にぞっこんだ。
新日本プロレスはコロナ禍での3カ月半以上のブレイクから、試合を再開した。6月15日から7月3日まで、東京の会場で無観客9大会を行い、3月に行われるはずだった「ニュージャパンカップ」を1回戦から準決勝まで無事消化した。私は久しぶりの新日本プロレスの大会開催ということもあって、この9大会すべてに足を運んでみた。
レインメーカー封印で、新しい自分を模索するオカダ。
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オカダはかつての参謀である外道、IWGPヘビー級の歴史に名を刻んだ永田裕志、オカダのルーツ・メキシコを思い出してしまう石森太二、そして、IWGPジュニアヘビー王者高橋ヒロムと戦ってみせた。
この4つ、それぞれに物語があったが、4試合のすべてのフィニッシュホールドがコブラクラッチであったことが、私には一番の驚きだった。
コブラクラッチは地味だが、相手を絞め落としてしまう荒技である。
オカダと言えば、決め技は「レインメーカー」という名の、相手を引き付けてのラリアットであるが、この4試合ではそれを封印した。
高橋との試合では、一見「レインメーカー」にも見える腕を取ってのラリアットを放ったが、オカダはこれを「レインメーカー」とは呼ばずに、ラリアットだという。実況のアナウンサーは「レインメーカー!」と叫んでいたが、オカダは後にこれを否定している。
オカダには「レインメーカー」が自分のものであったとしても、それとわずかでも異なるスタイルの「類似品」は「レインメーカーとは呼ばない」という強いこだわりがあるようだ。
「新しいオカダ・カズチカを見せていかないと、お客さんも飽きてしまうと思いますし、別にレインメーカーを出さないと勝てないんじゃなくて、ボクは今のフィニッシュにそれだけ自信を持ってやっていますから。レインメーカーよりもすばらしい技だと思って出しています」