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中川皓太は山口鉄也の後を継げるか。
「代えのきかない選手」へ2つの課題。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/07/04 20:15
7月1日のDeNA戦に登板した中川。巨人のセ・リーグ連覇には、彼の獅子奮迅の活躍が必要だ。
スライダーが“魔球”になった。
結果的にこの試合は中川の代わりに8回のマウンドに上がった澤村拓一投手の2四球の乱調から逆転負けを喫したが、この7回の中川投入から、今季の巨人のリリーフ起用のキーマンが、やはりこの左腕であることが見えてくる。
原監督をして「代えのきかない選手」と言わしめた山口の仕事を、指揮官は中川に求めているわけだ。
昨シーズンから腕を下げる新フォームにモデルチェンジした中川は、それまでも曲がりの大きかったスライダーがさらに威力がアップ。打者からは「バックスクリーンの外側から出てきて大きく曲がってくるように見える」という“魔球”になった。
そのスライダーを武器に昨季は開幕から16試合連続無失点を記録し、シーズン前半はクローザーとして崩壊危機にあったリリーフ陣の救世主になった。結果的には67試合に登板して4勝3敗16S、17Hで防御率は2.37と安定した数字を残している。
今季、中川には2つの課題がある。
ただ、その中川が山口鉄也の後継者となるためには、今季は2つの課題があったのだ。
1つはスライダーと対になるボールとしてツーシームに磨きをかけること。
スコアラーに聞くと昨年の対左打者の被打率2割、被本塁打0本と押さえ込んでいたものの、右打者に対しては被打率が2割7分3厘と上がって3本塁打を浴びている。
この右打者封じの決め手になるのが外へ逃げていくツーシームの精度。しかも抑え込んだ左打者に対してもゾーン別に見ると外角球の被打率が3割を超えている。
左打者にも外の真っ直ぐとスライダー中心の組み立てを読まれて踏み込まれて狙い打たれているケースがあった。その踏み込みを抑え込むためにも、ツーシームが必要というわけだ。