プロ野球亭日乗BACK NUMBER
中川皓太は山口鉄也の後を継げるか。
「代えのきかない選手」へ2つの課題。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2020/07/04 20:15
7月1日のDeNA戦に登板した中川。巨人のセ・リーグ連覇には、彼の獅子奮迅の活躍が必要だ。
多くの評論家からの批判もあった。
かつての阪神のJFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)のように7回から決まった順番で決まった投手が投げるわけではない。
7回に相手打線に左が続けば7回から、それが8回でも然り。当時のクローザーだった西村の状態次第では、それが9回になることもあった。それでも山口は黙ってマウンドに上がり、自分の仕事をやり遂げてベンチに戻ってきた。
この起用には「こんな使われ方をしたら投手はたまったものじゃない。ピッチャー心理が全く分かっていない起用法。投手に万全の準備をさせるために順番は固定すべき」と亡くなった野村克也さんら多くの評論家からの批判もあった。
しかし、そんな批判もどこ吹く風で原監督が山口を自在に使い切り、それに山口も応えたからこそ、この左腕は「余人をもって代え難い」存在といわれるまでになった訳である。
「勝負どころということで皓太をと思った」
「7回がポイントだというね、トップバッターからというところで、勝負どころということで(中川)皓太をと思ったんですけどね」
7月1日の東京ドームでのDeNA戦。試合後の会見で巨人・原辰徳監督はこの日の勝負手をこう説明した。
3対1と2点をリードした7回。DeNAは1番の梶谷隆幸外野手からネフタリ・ソト内野手、タイラー・オースティン外野手と続く好打順。そこで開幕からセットアッパーとして8回に登板してきた左腕の中川皓太投手を初めて7回から投入して、逃げ切りを計った。
中川は2死二、三塁から4番・宮崎敏郎の投前へのゴロにバウンドを合わせ損なって内野安打(記録は遊撃内野安打)とする間に1点は失ったが、続くホセ・ロペス内野手を空振り三振で抑えて何とか1点リードを守ってこの回を締めている。