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プロ野球12球団の「2番打者通信簿」
ハマるホークスとヤクルト、迷走は……。
posted2020/07/02 11:45
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
Hideki Sugiyama
6月27日のビッグインパクトが、今シーズンの新たな潮流を象徴しているのかもしれない。ヤクルトの山田哲人が巨人戦(神宮)の6回に、チームの大逆転を締めくくる3号グランドスラムを放った。一方、メットライフドームでは西武との6連戦中のソフトバンク柳田悠岐が、1回に先制の2号2ランを中越えに打ち込んだ。この2人に共通するのはトリプルスリーだけではない。「2番」を任されていたのだ。
近年の「2番打者重視」の流れが、明らかに強まっている。バント不要。1回無死一塁からの犠打なんてもってのほか。打って倒す。1イニング複数得点をねらい、打力を期待できる選手を置く傾向にある。開幕から10試合(ヤクルト、広島は9試合)が経過した6月30日時点での、各球団の2番事情をまとめてみた。
“昇格”の柳田、山田は不動の存在に。
『最強打者』……MLB流の最強打者を配して戦っているのは、以下の4チームだ。
<ソフトバンク>
先の柳田の本塁打は、3番から2番に「昇格」したその日に打っている。併せて5番を4番に、4番を3番に繰り上げている。つまりクリーンアップトリオを2番から4番で組んだことになる。工藤公康監督は「塁にいるところでプレッシャーをかけられる」と意図を説明しているが、最大のメリットは打席数が増えることだ。
3人合わせた年間の打席数は、単純計算で約47打席(シーズン143試合制で)プラス。もっとも、当初から工藤構想にあったわけではなく、開幕2番は有望株の栗原陵矢。十分に役割は果たしていたが、チームが波に乗りきれない中で今宮健太、川島慶三も2番で起用した。柳田を含めた4人で打率.289、11打点、4本塁打。2番・柳田が今後も継続されるか注目だ。
<ヤクルト>
セ・リーグで唯一の不動の2番。最下位脱出を誓う高津臣吾新監督が、打線の目玉として早くから山田の起用を宣言していた。開幕戦から2試合連続第1打席で2ランを放つなど、最強打者としての働きを続けている。打率.286、11打点、3本塁打はさすがのひと言だ。