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ラグビー新リーグはどうなる?
谷口真由美室長を野澤武史が直撃! 

text by

多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2020/06/28 11:40

ラグビー新リーグはどうなる?谷口真由美室長を野澤武史が直撃!<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

2021年秋以降の発足を目指すラグビー新リーグ。改革を先導する谷口室長は、現時点での構想を明かした。

「この状況で準備できるのはラッキー」

野澤 ここまでお聞きして、細かくなりますが収益は興味があります。新型コロナの一件があって、チケット収入はかなり苦しい状況になるのかなと感じています。

谷口 新型コロナの影響が続いて「ウィズコロナ」でやっていかなければいけないとなると、たとえば1万5000人収容のスタジアムで席を1つずつ空けたとしても観客は7500人です。計算が狂ってきますよね。これから大きなスポンサーさんを獲得したりVIPチケットがバンバン売れたりしたらいいですけど、今後はきっとそんな時代ではない。これからは草の根ラグビーではないけれども、たくさんの人、たくさんの企業さんにスポンサードして頂ける仕組みの方がいいのではと話していたところです。

 幸いなことに私はイチ研究者として研究費の問題に常に直面してきましたし、お金がないNGO、NPOにずっと関わってきたのでお金がない状況に慣れきっているところがあります。今できる範囲のことを着実に進めていけるので、この状況で準備できるのはラッキーなことだと捉えています。

「魅力を上げるためにクロスゲームが必要」

谷口 新リーグ構想の続きで、2021年度のチーム参入要件についてですが、大きく分けて『競技』『施設』『組織』『法務』『財務』の5要件を提示しています。3年間は助走期間として考えていて、2024年以降は必達義務になります。

 まず『競技要件』については、世界最高峰のリーグにふさわしいトップチームを持ってくださいとか、育成プログラム・メソッドの立案、教育研修・メディカルケアを実施してください、ということです。

 2つ目の『施設要件』では、主に収容観客者数1万5000人を目処としたホストスタジアムを確保し、そこで最低50%のホストゲーム占有率を目指してください、とお願いしています。

 3つ目の『組織要件』は主にホストゲームのチケット販売・試合を自主運営できる体制を作り、ホストエリアとなる地域自治体との連係を書面で取り交わしてください、といった項目です。

 4つ目の『法務要件』としては、プロ選手には統一の契約書を用意すること。また企業チームの色合いも残すことになったので、正社員選手に対しては選手誓約書を提出してもらおうと考えています。

 最後の『財務要件』ですが、リーグも含めて財務の可視化をすることに加えて、サラリーキャップ制度を導入したいと思っています。

野澤 年俸総額に上限を設けるサラリーキャップ制度は大いに賛同するところです。僕はコンテンツとしての試合の魅力を上げるためにクロスゲームが必要だと思っているんですが、トップリーグはクロスゲームが少ない。解説者もやっていますが、前半で4、50点差が開く試合もあり、どうなるんだろうとワクワクしながら解説できる試合は、実は年に数試合しかありませんでした。

 クロスゲームが少ない理由のひとつは、各チームで使っているお金が違うこと。そこがある程度一緒になってくるとコンテンツの魅力は上がってくるのかなと思います。全面プロ化をしない以上はドラフトも難しいと思うので、サラリーキャップは非常に重要かなと思います。

谷口 企業も新型コロナ後にすごく大変になります。年俸が高騰すれば「ラグビーチームをやめよう」という声が大きくなるかもしれない。年俸に上限を設けることは企業にとっての抑制策でもあります。誰か1人が得するような仕組みではなく“三方良し”というか、みんなで良くなろう、という考え方でないと持続可能性は担保できないだろうなと感じていますね。

【次ページ】 選手を置き去りにしない協議を。

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