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ラグビー新リーグはどうなる?
谷口真由美室長を野澤武史が直撃!

posted2020/06/28 11:40

 
ラグビー新リーグはどうなる?谷口真由美室長を野澤武史が直撃!<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

2021年秋以降の発足を目指すラグビー新リーグ。改革を先導する谷口室長は、現時点での構想を明かした。

text by

多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

PROFILE

photograph by

Kiichi Matsumoto

 2021年秋以降の開幕をめざす日本ラグビーの新リーグ。改革を先導するのは、新リーグ法人準備室室長で、日本ラグビー協会理事の谷口真由美氏。メディアなどでマルチな才能を発揮してきた法学者だ。谷口氏は父が近鉄ラグビー部コーチ、母が同部寮母を務めていたため、6歳からの10年間を寮のあった近鉄花園ラグビー場内で暮らした。日本ラグビー界の聖地で寝食をしていた少女が、その後リーグ改革の旗手を務めることになるのだから事実は小説よりも奇なりだ。

 今回、そんな女性リーダーの本音に迫ったのは元ラグビー日本代表の野澤武史氏。慶應高から慶大、神戸製鋼と進んだフランカーで、U17日本代表のコーチも経験。株式会社山川出版社で代表取締役副社長を務める経営者でもあり、コロナ禍でアピール機会を失った高校3年生を救うネット活動「#ラグビーを止めるな2020」の仕掛け人でもある。バイタリティ溢れる愛称「ゴリさん」が経営者目線を交え、新リーグ構想の中身に迫った。


野澤 日本ラグビーはラグビーワールドカップをもう一度日本で開催することを目標に掲げています。その目標達成のための新リーグで、選手スタッフが最高に輝いているところを想像すると本当にワクワクしますし、あらためて日本ラグビーは変革期を迎えているのだなと感じます。

谷口 新リーグでは変えるべきところは変えて、変えなくていいものは変えない。これまでも「温故知新でいきましょう」と言ってきました。前提として、今まで一生懸命にラグビーを支えてくれた方々のことを否定する意図は誰にもないです。

野澤 日本的な形に新しいものを加えていく「新日本的経営」のようなスタンスが良いでしょうね。ラグビー界でガラガラポンはなかなか難しい。

谷口 「日本ラグビーを変えよう」という波はこれまでもあったと思いますが、今は大きなチャンスだと思います。ワールドカップを日本で経験したことがすごく大きいですね。

野澤 ラグビー界はラグビーが大好きな人の集まり。これまでは“犠牲のマネジメント”というか、そういう人達のライフゲージを毀損しながら成り立ってきたところがあります。新リーグでは運営がプロ化するということで、大きく舵を切るタイミングになるのかなと感じています。

世界に勝つ。代表との共存共栄。

谷口 5月に発表した新リーグ構想についてあらためて説明をさせてもらうと、日本ラグビー協会が中長期計画として掲げる今後30年間の大目標は「日本でラグビーワールドカップをもう一度開催して優勝する」こと。そのためにやらなければいけないことの1つが、新リーグを創ることです。

 新リーグ設立の目的は大きく2つ。

 1つは「国内リーグを発展させ、世界との競争に打ち勝つ事」です。トップリーグは日本最高峰を謳っていますが、新リーグは世界のプレイヤーが憧れる世界最高峰リーグを目指すこととなります。少子高齢化の時代にあって1チーム15人を要するラグビーの新リーグとしては、1チームも減らすことなく、1人でも競技人口を増やしていくことを考える必要があるので、裾野を広げるためにも、憧れられるスポーツ、職業を目指していきます。目的の2つ目は「日本代表との共存共栄」です。やはり日本代表が強くなければ国内リーグも盛り上がらないと思うので、そこは両輪で居続けなければいけません。

 新リーグになって変わる事は大きく3つあります。

 1つ目は「日本ラグビーフットボール協会から独立したリーグ運営」です。サッカー協会とJリーグのような関係がすっきり理解して頂けると思います。

 2つ目は「チームによる試合興行、地域に根ざした普及」。興行権を各チームに委譲して自前で興行してもらうことになります。興行は地元で支えてくれるファンが必要不可欠なので、ホストエリアのホストスタジアムでの試合、地域に根ざした普及活動を大きく掲げています。

 3つ目は「ラグビーの事業化と社会化」です。上記2つを達成するために、社会課題の解決を図れるようなリーグを作っていきたいと思っています。イメージしているのは「街にラグビーチームがあるといじめが減った」といったような社会的効果です。そうした効果を持ってもらうことを社会化と表現しています。

 リーグの構成ですが、参入チームを3つのディビジョンに振り分けます。上位のディビジョン1、2は参入要件への同意があり、かつ必達できるチームとしています。ディビジョン3は企業チームでなければ存続できない場合を想定し、新社会人リーグのような形をイメージしています。ただサッカーの天皇杯のようにディビジョン3のチームでも優勝できるカップ戦のような大会は考えていきたいと思っています。

【次ページ】 「この状況で準備できるのはラッキー」

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