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コロナ禍でスケートボードが品薄に!
五輪メダルへの期待と過熱するブーム。
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph byYoshio Yoshida
posted2020/06/15 11:30
コロナ禍以降、ちょっとした脇道や公園の一角でこのようにスケートボードに興じる姿を見かけることが多くなった。
選手のモチベーションにも多大なプラス効果が。
実際に日本でスケートボードブームが起こっていることを、現在アメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動している日本のエース、堀米雄斗に話を聞くと、本人も歓迎の言葉を残してくれた。
「単純に嬉しいですね。コロナの自粛がきっかけということもあるかもしれないですが、自粛があけてもやめずに続けてもらいたいなと思います。スケートボードの楽しさをどんどん知っていってもらいたいと思いますし、それを共有できる仲間が増えるというのはいつだって嬉しいことです。
スケートボードのカルチャーがもっともっと浸透してほしいと思いますし、オリンピックもそのきっかけのひとつです。だからたくさんの人に応援してもらいたいし、そこからさらに定着していったら最高だと思います」
ブームが起これば、当然注目は高まる。注目が高まれば、当然応援する人は増える。
そして応援する人が増えれば、当然選手のモチベーションは高まる。
さらに選手のモチベーションが高まれば、当然好成績に繋がるしメダル獲得の可能性も上がる。
もちろんこれらは一概に断言できるものではないが、未来に期待が持てるひとつの要素であることは間違いないだろう。
先ほども書いたが、この先に必要な人気爆発のちょっとしたきっかけが、仮に来年の五輪であったとしたら、
スケートボードが歩むシナリオとしては、この上ない最高のものになるだろう。
五輪延期で日本勢の新たなトリックが見られるかも!?
さらに五輪の延期も、日本勢にとってはプラスに働く公算の方が高いと言われている。
その根拠は、下は11歳から上は21歳という日本の選手層の若さにある。
実際に日本のスケートボード競技を管轄しているWORLD SKATE JAPANの関係者も、「まだまだ育ち盛り、伸び盛りの選手が多く伸び代も十分なため、1年の延期で多くの時間を練習に費やすことができるようになり、先頭をいく選手に追いつき、追い越す事が可能になったと考えている」との言葉を、五輪延期決定直後に残している。
そして、五輪延期に伴う予選大会のシステムも先日発表された。現在初戦を終えた状態である第2シーズンの終了が2021年6月29日とされ、そのシーズン中のハイスコアー4戦のポイントを採用、すでに終了した第1シーズンのベスト2戦のポイントと合算されることが確定したのである。
まだ第2シーズンの予選大会がどこで何戦行われるのかは発表されていないものの、現在のポイントよりも今後開催されるコンテストの方が比重が大きくなるので、選手個人が置かれている現在の立場で、状況は違えど、概ねプラスになるのではないかという見方の方が強い。
現に堀米雄斗も、
「もともと温めていたトリックがいくつかあって、五輪でそれを披露してみんなを驚かせようと思っていたんですが、かなり難易度が高いので間に合わせるのに必死でした。延期になった分、しっかりと練習を積んで完成度やメイク率を上げていけると思うので、決まったことに対してポジティブに切り替えることはできていますね」
と期待の言葉を残してくれている。
伸びしろが大きい選手が多い日本の現状から見ると、さらに高難度のトリックを見ることができる可能性が上がったと捉えておいた方が良さそうだ。