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コロナ禍でスケートボードが品薄に!
五輪メダルへの期待と過熱するブーム。
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph byYoshio Yoshida
posted2020/06/15 11:30
コロナ禍以降、ちょっとした脇道や公園の一角でこのようにスケートボードに興じる姿を見かけることが多くなった。
生産工場がストップしたことによるアイテム不足。
世界中に商品を供給しているアメリカの大手ディストリビューターの生産工場がコロナ禍によってストップしてしまったのが、品薄の原因である。合わせて輸出入にかかわる飛行機や船の稼働も極端に減ってしまい、運搬にも遅れが生じたことで国内のショップ、輸入代理店ともに品薄の状態が今も続く。
個別のギアで言うならば、ビギナーが買うことの多い「コンプリートセット(すでに組み上がっていてすぐに滑走可能な完成品)」はもちろんのこと、「ウィール(車でいうタイヤに当たるパーツ)」と「トラック(土台となる金属のパーツ)」という、元々のブランド数が少ないパーツが特に品薄になっており、感染予防マスクで起こったような本来の価格の数倍の値段で販売する悪質な転売ヤーまで出てきてしまったのだから、異常事態と言っていいだろう。
それでもメインパーツである「デッキ(ボード)」は、今までと比べると少ないとはいえ、ブランド数や生産枚数が元々多いので、まだ対応できるストック数が確保できているとのこと。
現状は工場は動き始めたものの、まずは本国アメリカの需要を満たさないと日本を含めた他の国には商品が入ってこないため、それを待っている状態だ。日本ではこの品薄が7~8月、場合によってはもっと延びる可能性もあるという話も聞こえてくる。
ブームはまだまだ続く……。
以上のような2つの出来事が同時に起こったことにより、売りたいのに売るものがないという前例のない状態に陥っているスケートボード市場。
それも学校が部分的ながら再開し始めたことで需要も落ち着きを見せていくのかと思いきや、プロショップやスケートパークから聞こえてくるのは、問い合わせや売れ行きは衰えるどころかむしろ増しているといった声の方が多い。
「コロナ禍で始めた人が多い理由としては、休校になったタイミングが3月という春休みシーズンだったのもあると思います。例えば田舎から上京した大学生が長期休みで田舎に帰ったのはいいけど、移動が制限されたことで戻れなくなってしまいました。その上田舎では都会よりも遊ぶ施設が少ないということもあるでしょう。そこで友達が持っていたので自分もやってみようと思いました。といった声はお客さんからよく聞きます。
今はそこから3カ月くらい経ったのですが、このタイミングはちょうどパーツを買い替える時にあたるので、そういった需要での来店も増え始めてきました。さらに学校も徐々に再開し始めたことで人と会う機会が徐々に戻りつつあります。そこでコロナ自粛期間に始めた人の友人が自分も始めてみようかなという形で、今は二次連鎖が起きているように思います。実際にネットショップに商品をあげると、すぐに他県の方からの注文が入ってしまい、地元のお客さんに売る分が無くなってしまうんですよ」