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コロナ禍でスケートボードが品薄に!
五輪メダルへの期待と過熱するブーム。
posted2020/06/15 11:30
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph by
Yoshio Yoshida
コロナ禍によってスケートボードが売れに売れている。
新型コロナウイルスによるパンデミックが本格化した3月以降、移動の自粛が求められる中で、ちょっとした場所があれば出来る運動、家で出来る運動がブームを呼んでいる。小型のトランポリンや縄跳びといったワークアウトなどが注目を集めてきたが、その一方でスケートボードにも空前のブームが巻き起こっているのはご存知だろうか。
スケートボード関連でのブームと言えば、10年近く前にペニースケートボードに代表される“バイナルクルーザー(プラスチック製のカラフルなスケートボード)”が爆発的なヒットとなったが、トリックやシーンがあまり確立されておらず、主に「プッシュ(地面を蹴って進むこと)」を楽しむ以上の発展を迎えることなくブームはひと段落していた。今回のブームにおいては、オリンピック競技にも採用されているメインストリームのスケートボードがまさに“バブル”を迎えているのだという。
一斉休校と1人で始められる気楽さから需要が急増。
その実態はこうだ。
きっかけは、3月に全国の学校が一斉に休校になってしまったことと、ソーシャルディスタンスを保つ意味でチームスポーツがセーブされてしまったことにある。学校が休みになり、なおかつ友達同士で集まることもできないとなると、個人で楽しむことができ、なおかつ他人との距離を気にせず遊べるスポーツへの関心が高まってくることは自然な流れと言える。
そこで、もともとオリンピック効果によって注目が高まりつつあったスケートボードの需要が、このタイミングで急激に高まり、これを機に始めてみようという人が爆発的に増え、学生年代を中心に盛り上がっていったのが現在のブームへと繋がっていった。
確かにスケートボードは1人でもできるし、家から一歩外に出ればどこでも簡単に遊ぶことができる。この2~3カ月であちこちでスケートボードを楽しむ姿が急増したのも頷けるわけだ。
日本では道路交通法76条4項3号によって、「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること」が禁止されているが、交通のひんぱんな道路ではソーシャルディスタンスそのものを保つのが難しいのは明白だし、そもそも危険性が伴うので、あえてそこでやるということはない。それぞれが試行錯誤しながら、“NO密”の状態がキープできる場所を見つけてスケートボードを楽しんでいるというのが実情のようだ。
しかし、高まる需要とは裏腹に商品を買いたくても買えない、という現象も同時に起こってきてしまっているという。