酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
松井秀喜がもし巨人ひと筋だったら。
日本人年間50発、MLBで減った三振。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2020/06/12 07:00
巨人からヤンキースへと旅立っていった松井秀喜。もしFAせずにNPBでプレーし続けたら……と想像を膨らませても面白い。
往年の強打者と体格を比べると。
松井と旧来の日本人強打者との決定的な違いは体格だ。
<1990年以前も含めた日本人の50本塁打者の体格>
王貞治(50本以上3回、1964年55本塁打)
177cm79kg
落合博満(50本以上2回、1985年52本塁打)
178cm82kg
野村克也(1963年52本塁打)
175cm85kg
小鶴誠(1950年51本塁打)
176cm71kg
松井秀喜(2002年50本塁打)
186cm95kg
先輩強打者と比べても、松井秀喜がとびぬけて大型であることがわかる。
松井秀喜はメジャーリーガーに引けを取らない体格で、MLBと同じサイズの球場でホームランを打ったのだ。そういう意味では、松井秀喜が、MLBに挑戦するのは、必然的なことだったと言える。
NPBとMLBの両10年間を比較。
MLBでの松井秀喜が、期待に応える活躍をしたのか、そうでなかったのかは意見が分かれるところだろう(もちろんワールドシリーズMVPを獲得するなどの活躍は見せているのだが)。
松井はNPB、MLBでともに10年プレーした。その成績は以下の通り。
<NPB>
4572打数 1390安打 332本塁打
889打点 打率.304 長打率.582
<MLB>
4442打数 1253安打 175本塁打
760打点 打率.282 長打率.462
ほぼ同じ打数なので、比較しやすい。
松井はMLBに移籍して安打数は1割、本塁打数は半分弱、打点は15%減少した。本塁打数のわりに打点が減っていないのは、二塁打がNPB時代より若干増えている(245本→249本)など、本塁打にならないまでも好機で安打を打って、走者を返すことができていたからだ。
ただ松井は外国人選手並みに本塁打を打つパワーはあっても、レベルの高いMLBの投手相手に、NPB時代と同等のパフォーマンスを見せることはできなかったという見方もできよう。