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松井秀喜がもし巨人ひと筋だったら。
日本人年間50発、MLBで減った三振。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKyodo News

posted2020/06/12 07:00

松井秀喜がもし巨人ひと筋だったら。日本人年間50発、MLBで減った三振。<Number Web> photograph by Kyodo News

巨人からヤンキースへと旅立っていった松井秀喜。もしFAせずにNPBでプレーし続けたら……と想像を膨らませても面白い。

巨人、ヤンキースで夢を実現した。

 そしてそれ以上に、松井秀喜は長年の野球ファンの「夢」を実現した選手でもある。

“打撃の神様”川上哲治が活躍した時代、ファンは同世代のテッド・ウィリアムズやジョー・ディマジオとの競演を夢見た。王貞治、長嶋茂雄のONが活躍した時代は、ハンク・アーロンやウィリー・メイズとの競演を夢見た。

 日米野球ではこれらの顔合わせは実現しているが、日本の野球ファンは日本で見るメジャー・リーガーが本気100%ではないことを知っていた。

 しかし松井秀喜は、ヤンキースで同時代の最強打者、アレックス・ロドリゲスと中軸を組んだ。殿堂入りしたチーム・リーダーのデレク・ジーター、2000年のMVPジェイソン・ジアンビ、実に勝負強かったゲイリー・シェフィールドもチームメイトだった。そして彼らと真剣味100%の試合をした。

 巨人時代、落合博満、清原和博、高橋由伸、阿部慎之助らと打線を組んだ松井秀喜が、ヤンキースではA-RODをはじめとするスーパースターの打線に連なった。まさに日本の野球ファンの夢を実現したのだ。

 大谷翔平もアルバート・プホルスやマイク・トラウトなどMLB球史に残る大選手と打線を組んでいるが、これは本当にすごいことだと思う。

もしNPBでずっとプレーしていたら。

 ここまでメジャーリーガー松井秀喜の価値をたたえておいて何だが、松井がNPBでずっとプレーをしていたら、どんな数字を残していたのか――というのも気になるところだ。この試算を独自で算出してみた。

 まず試合数はMLBでの松井の試合出場率を出して、NPBの試合数で掛けて出場試合数を割り出す。松井は2006年5月、左翼守備中に左手首に大けがをして戦線離脱しているが、NPBでプレーしても負傷のリスクはある。そのため、この欠場も考慮して打数を試算。安打数はMLBでの安打の1割増しとした。

 一方で本塁打数は前半の5年間はMLB移籍前5年の松井の本塁打率(0.0845)とし、後半5年はNPB通算10年の本塁打率(0.072)とした。打点はMLBでの打点率の2割増しとした。なお移籍などについては考慮していない。もちろんこの算出法には異論も多いかと思うが、数字は以下の通りになる。

<1993年から2002年までの数字>
1268試合 4572打数 1390安打
332本塁打 889打点 打率.304

<2003年から2012年までNPBに在籍したと仮定した推測値>
1090試合 3918打数 1215安打
311本塁打 804打点 打率.311

<合計>
2358試合 8490打数 2605安打
643本塁打 1693打点 打率.307

 安打数は張本勲、野村克也、王貞治に次ぐ史上4位、本塁打は王、野村に次ぐ3位、打点も王、野村に次ぐ3位。打率は歴代11位になる。

【次ページ】 金本の数字をすべて上回る計算。

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