酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
松井秀喜がもし巨人ひと筋だったら。
日本人年間50発、MLBで減った三振。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2020/06/12 07:00
巨人からヤンキースへと旅立っていった松井秀喜。もしFAせずにNPBでプレーし続けたら……と想像を膨らませても面白い。
金本の数字をすべて上回る計算。
平成以降で現実の数字を見ると、金本知憲の2539安打476本塁打1521打点が最高だが、松井はこれをすべて上回る。
またタイトルで見てもキャリア後半10年でも本塁打王を3回獲得、通算タイトルは本塁打王6回、打点王3回、首位打者1回になるという計算だ。
巨人は、松井が移籍してから2013年まで5回のリーグ優勝を果たしているが、活躍次第ではMVPも実際の3回からさらに増える可能性もあるだろう。
王貞治や野村克也を「昭和の大打者」だとすれば、松井秀喜はそれに比肩しうる「平成の大打者」になっていたはずだ。
平成のNPB史上最強打者・松井秀喜も、それはそれで見たかった気もする。
MLBで引退したイチローと松井。
NPBからMLBに行った打者は大谷翔平も含めて15人いるが、NPBに復帰することなくキャリアを終えたのは、現役の大谷を除けばイチローと松井秀喜だけだ。
この2人は、MLBの野球に適応して、完全燃焼したと言えるだろう。夢を成就したと言っても良いかもしれない。
今季、松井秀喜以来のスラッガータイプの打者である筒香嘉智がメジャーデビューする。MLBの開幕はまだいつになるかおぼつかないが、彼も完全燃焼してほしいものだ。