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「ハセが契約更新してくれて嬉しい」
長谷部誠、36歳で託された新任務。
posted2020/06/05 11:40
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
ドイツ国内は新型コロナウイルス流行による行動制限措置の緩和が行われ、これまでの日常を取り戻しつつあります。
イエス・キリストの復活を祝う復活祭から50日後の6月1日は『聖霊降臨祭月曜日』という祝日で、5月30日の土曜日からは3連休となりました。この間、僕の住むドイツ・フランクフルトの住民は遠方への旅行を控え、営業再開した街中のレストランやカフェのオープンエアの席で寛ぐ姿が目立ちました。
このコラムでも度々登場するアパートメントの大家のおばあさんとは最近、コロナ禍の影響で直接お会いできていません。でも、彼女との交流は今でもしっかりと続いています。
大家さんはこれまでもアイントラハト・フランクフルトに所属する日本人選手が活躍して翌日の新聞の見出しを飾ると、必ずその新聞を僕の玄関の前に置いてくれました。
そして今回晴れてドイツ・ブンデスリーガが再開されてからは、彼女が新聞を“届けてくれる”頻度がますます増えています。
ヨビッチらが去った今季の苦難。
アイントラハトは、ブンデスリーガ中断前に連敗していました。アドルフ・ヒュッター監督はウィンターブレイク明けから4-1-2-3を主戦システムに定めてチーム戦術の刷新を図りましたが、チーム成績は一時の浮上から急激な下降という不安定な曲線を描き、再びのリニューアルを余儀なくされていました。
とはいえ、今季のアイントラハトは指揮官だけに低迷の責任を問うのは酷だと思います。昨季の好成績を導いたルカ・ヨビッチ(→レアル・マドリー)、セバスチャン・アレ(→ウエストハム)、アンテ・レビッチ(→ミラン)の攻撃の3枚看板が相次いで移籍して高額の資金を得た一方で、クラブはそれに代わる主軸の獲得を控えました。
その結果、攻守のバランスを崩したチームは苦境に陥り、指揮官の戦術リニューアル実行の端緒を生んだと言えます。