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「ハセが契約更新してくれて嬉しい」
長谷部誠、36歳で託された新任務。
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph byGetty Images
posted2020/06/05 11:40
無観客試合での開催が続くブンデスリーガ。契約延長が発表された長谷部誠はどんなプレーぶりを見せてくれるだろうか。
再開直後の一戦の試合内容は……。
ブンデスリーガ再開直後のボルシア・メンヘングラッドバッハ戦は、アイントラハトにとって非常に悪い試合内容でした。
この試合では右からアルマミ・トゥーレ、ダビド・アブラアム、マルティン・ヒンターエッガー、エバン・エンディカというお馴染みの4人が4バックを形成しましたが、試合開始から僅か35秒で相手FWアラサヌ・プレアにシュートを流し込まれて失点してしまう体たらく。そして6分後にもFWマルクス・テュラムに追加点を奪われて、後半に1点を返したものの1-3で完敗を喫しました。
今季のアイントラハトは、得点力不足とともに脆弱な守備網にも問題が山積していて、ヒュッター監督はその是正策として守備的な選手を多く起用する策を採るのですが、そもそも中盤のゲームコーディネイト力も不足しており、屈強な選手が後ろに並んでいるだけの状態では事態を打開できるはずもありませんでした。
続いて第27節のアウェー、バイエルン・ミュンヘン戦も当然のごとく2-5と完敗したアイントラハトに対して、地元メディアからは3バックへのシステム回帰の進言とともに、長谷部誠をスターティングメンバーに戻すべきという論調が沸き上がりました。
バイエルン戦、長谷部はベンチ入りしたものの不出場。鎌田大地も後半から19分間の出場に留まりました。日本人選手の活躍に期待を寄せる僕からすれば口を尖らせて「ハセと鎌田くんを起用しなさいよ」と言いたいところですが、ヒュッター監督の心情を慮ると、事はそれほど単純ではないことがうかがい知れます。
リモートインタビューで語った契約。
先日、6月4日発売の『Number』本誌で長谷部のインタビューをさせていただきました。このご時世のため当然インタビューはリモートで実施しましたが、ネットワークを介して聞いた彼の声はとても落ち着いていて、コロナ禍の現状にも真摯に向き合っている印象を受けました。
詳細は『Number』本誌をお読みいただきたいですが(宣伝です!)、その中で長谷部は、自身とアイントラハトとの契約についても語っています。
その内容に則して判断すれば、最近の長谷部の起用法に彼の契約問題や事情が加味されていたとは思えません。ちなみにクラブから公式発表もありましたが、長谷部は2021年6月末までの契約延長に合意し、来季もチームの一員として戦うことが決まっています。ですから、来季以降のチーム戦略を鑑みて彼の起用を控える必要はないわけです。