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ラトビア1部コーチ中野遼太郎の見解。
成功する日本人選手の共通点って?

posted2020/04/24 08:00

 
ラトビア1部コーチ中野遼太郎の見解。成功する日本人選手の共通点って?<Number Web> photograph by Ryotaro Nakano

海外での現役生活で痛感したという「自己主張」の差。さまざまな国の人たちと接することで、言語の違いを改めて理解した。

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中野遼太郎

中野遼太郎Ryotaro Nakano

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Ryotaro Nakano

ラトビア1部リーグ・FKイェルガヴァでコーチという肩書きを持ち、日本人初となる欧州1部リーグ監督を目指す中野遼太郎氏。前回のコラム(https://number.bunshun.jp/articles/-/842892)が好評につき、第2弾をお送りする。今回のテーマは海外で痛感した「自己主張」の貧弱さ。4カ国を渡り歩いた現役生活を振り返り、赤裸々に綴った。

 こんにちは、中野遼太郎です。前回のコラムが好評だったので、第2回を掲載していただけることになりました。

 読んでいただいた皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。前回の記事内で「名も知らぬ青年の記事に心を揺さぶられてからが人生です」と書いたところ、光栄にも「揺さぶられました!」というメッセージを数通いただきました。もっと集中して生きてください。

 さて、今回は「自己主張」をテーマに設定しました。

 僕が海外でプレーするなかで、自分に足りないと感じたことはのべ2万個ありますが、なかでも「外国人に囲まれるなかで自分をどう主張するか」という部分には長年苦戦しました。総合ランキング3位です。

 おそらく僕に限らず、そしてサッカーの仕事に限らず、この「自分の言いたいことを伝える」という部分で苦労する人は多いのではないでしょうか。僕はこの「主張する」という大きな概念をできるだけ分解することで、そのヒントを皆さんに提示することを使命に、パソコンの前で1文字も思い浮かばずに座っているところです。ヒントが欲しいのは僕の方でした。

「メンタルが強い」で括るな。

 サッカーという競技において、選手は自己主張からは逃れられません。

 ピッチでは、呆れるほどの自信を持った選手たちが、呆れるほどに自己主張を繰り返していて、それはもう呆れます。味方に激しく要求する選手を見て、あるいは審判に盾突く選手を見て、はたまたPKキッカーを絶対に譲らないストライカーを見て、「あの人と友達にはなれそうにない」と思ったことがある人も多いかもしれません。

 特に欧米においては、技術的な優劣と、精神的な序列に相関があまりないので「めっちゃヘタなのに超言い返してくる」とか「完全に向こうのミスなのにこっちみてWHY?の顔してる」みたいな事例は頻発します。「上手いヤツには意見出来ない」という空気も、「積極的に自分のミスを受け入れる」という姿勢も日本のようには色濃くないので、他人に意見する、という行為の精神的ハードルは低いです。彼らには彼らの次元で、別のハードルがあるのかもしれませんが。

 そして、こういう「堂々とモノが言えて、しっかり人のせいに出来る選手」というのは、日本においては一様に(多くが皮肉の意味を込めて)「メンタルが強い」と形容されます。

 僕は日本語において、「このメンタルが強い」という言葉がカバーする範囲が広すぎて、外国人選手のあらゆるアクション(尊敬するべきものからクレイジーなものまで)が「メンタルが強い」という一言に収斂されていくのが嫌でした。その一言で片付けてしまうと、それは埋まらない差として、両者の間に横たわったままのように思えたからです。

【次ページ】 自己主張の貧弱さが居場所をなくす。

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