マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
夏の甲子園に監督、選手たちは?
もし高校球児に選手会があったら。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2020/04/25 08:00
選手たちに発言の機会があったら、彼らはどんな結論を出し、どんな発信をするのだろう。
勝ち負けもだが、100%の力を出したい。
彼は県内でトップレベルの強豪校で早くからレギュラーを務め、3年時はキャプテンでもあった。
「だから球数制限が騒がれた時も、そんなのいらないよなってみんなで言ってたんです。でも、今回は状況が違いますから。無理して予選始めて、もし感染者がたくさん出れば、周りに迷惑かけることになります。
それ以上に、やっぱり時間が足りないと思います。5月の終わり頃からむし暑い中で必死に練習したとして、7月の予選が始まる頃には疲れや故障が出てバテバテになってて、きっと体調最悪の状態で予選突入ってことですよね。その頃は期末試験もありますし」
最後の夏になる3年生は特に、勝ち負け以上にベストパフォーマンスができることを、より念頭に置いているという。
「勝ち負けには運もありますし、自分の力が100%出せれば、悔いもなくなるじゃないですか。でも、試合するのがやっとぐらいな体調にしか戻せないんなら、ちょっと考えてしまいます……。プロ野球だって、4月前の開幕に合わせて3カ月前の1月から練習始めるじゃないですか」
「誰が考えても無理だとなったら……」
またしばらく時間をかけて、頭の中を整理してくれた。
「あくまでも『やる!』を前提に、なんとか知恵を絞って努力を尽くしてもらって、それでもし感染者が減ってきている状態だったら、やらせてほしいです。だけど誰が考えても無理だとなったら、しょうがないですよね。
その時は自分たちが納得できるように、ありのままの事情を説明してくれたら……って思います。今までそういうのってなかったんで。自分たちの意見を聞いてくれたりとか、説明してくれたりとか、球数制限の時なんかも」