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ブンデスリーガに日本人鍼灸師が!?
黒川孝一が考えるサッカー選手のケア。 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2020/04/03 11:30

ブンデスリーガに日本人鍼灸師が!?黒川孝一が考えるサッカー選手のケア。<Number Web> photograph by Getty Images

2018-19シーズンのELでは4強進出するなど躍進したフランクフルト。日本人鍼灸師の黒川孝一もクラブで力を発揮している。

「鍼の響き」と筋肉が緩むとき。

 鍼灸にはいろいろな技術がある。元々大昔の中国で生まれた技術が、日本や韓国に渡り、それぞれの進化を遂げてきたという。詳しい説明はここでは割愛するが、基本的に刺激を加えることで自己回復能力、自己修復能力の改善を図るところがポイントだ。

「ツボと言われる反射が起こりやすい場所を刺激してあげることで、本来ヒトが持っている自然治癒力が作用し、自分を回復させる能力を高めるということが根底にあります。ただ全部のケースに針を使うわけではなくて、まず触診という指や手を使って悪い箇所を探しながら丁寧にマッサージを行なって、それで足りない部分は鍼でという感じですね。いま、治療をしていて鍼を使うのは半分くらいです」

 指で刺激を与えても、鍼を打っても、身体に同じような変化をもたらせるようになってきたという。刺激を与えたい箇所への深さや必要とされる刺激の量、時間によって、その両方を使い分けていると黒川は説明する。

「指だけでも効果はありますが、それだけでは効きにくい。ピンポイントでより強い刺激を与えたい場合には鍼になります。例えば、鍼を刺すと神経に作用して、手に電気が流れているような感覚を帯びてくるときがあるんですよ。

 僕たちはそれを『鍼の響き』というんですが、その後にフワッと筋肉が緩むときがあるので、その感覚を知っている選手は鍼が好きで、手っ取り早く鍼で疲労回復してくれと言ってくる選手もいます。面白い技術だと思います」

「もっと伸びるようになったとか」

 筋肉は筋繊維の収縮作用で動いている。ただし、疲労が溜まるとその作用が鈍くなり、縮んだまま伸びなくなってしまうことがある。

 その状態で負荷のかかる運動を続けると、筋繊維が損傷するか、ひどいときには切れてしまう。普段はストレッチをしたり、十分な休養を取ったりして筋肉を健康な状態に戻すわけだが、鍼治療は外部からの刺激で、そのプロセスを促進させるというわけだ。

「筋繊維がたくさんあるなかで、部分的に張りが出てきちゃうことが多いんですよ。他の部分は動いているけれど一部分が動いていないとか。動きの悪い場所が出てきてしまう。そこをピーンと刺激してあげると筋肉の動きが良くなる。ストレッチのときに、さっきはここまでしか伸びていなかったのに、もっと伸びるようになったとか、そういった変化は出やすいですね」

【次ページ】 きっかけはシャーフ元監督。

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