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ブンデスリーガに日本人鍼灸師が!?
黒川孝一が考えるサッカー選手のケア。
posted2020/04/03 11:30
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
チームが好成績を残せば、メディアで取り上げられるのは選手や監督に集中する。表に立って戦う彼らの活躍こそが評価の対象になるのは当然だろう。
しかし、いい選手が集まればいい試合ができて、いい結果を挙げられるとは限らない。チームを前へ押し出すファンの声援が持つ力は絶大だし、方向性を束ね、選手を統率する指導者がいなければ個々の力は放散されていくだけだ。
指導サイドも、監督が1人ですべてを行える時代ではない。テクノロジーの発達は映像分析力を格段にアップさせ、日進月歩で洗練されていく戦術においては試合の間に柔軟に対処できる準備が求められている。
また、フィジカルやメンタルにおける適切な強化とコントロールも欠かせない。選手個々の力を最大限まで引き出すためには、それぞれのスペシャリストが、それぞれの仕事を最適な形で還元できる環境が大切になる。
つまり、クラブに所属する全スタッフの貢献なくして、理想的な形で前へと進んでいくことはできないのだ。
ELなど試合数が非常に多い中で。
長谷部誠と鎌田大地が所属するフランクフルトには、クラブ全体を支える重要な日本人スタッフがいる。鍼灸師の黒川孝一がそうだ。
特に今季のフランクフルトは、ヨーロッパリーグの予備戦を通常のシーズン前に戦ったことで、どのブンデスリーガのクラブよりも公式戦の数が多い。特に前半戦は過密スケジュールの連続で、選手はコンディション調整に苦しみ続けていた。
怪我人も出た。そんななか、黒川や他のフィジオたちは選手が可能な限りフレッシュな状態でピッチに立てるように、そして、怪我をしないように、懸命にケアしている。実際フランクフルトからは筋肉系の怪我人があまり出ていない。
「試合中の肉離れや損傷は、いまのところほぼありません。コンディションを上げていくキャンプの段階では筋肉系のコントロールは難しいケースもあり、そうしたケガが出ちゃうこともまれにありますけど。シーズンを通して見たら、いまのところ筋肉系の怪我は少ないですね」