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センバツ中止の結論に文句はない。
だが32校をそのまま放置していいか。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byKyodo News

posted2020/03/12 15:00

センバツ中止の結論に文句はない。だが32校をそのまま放置していいか。<Number Web> photograph by Kyodo News

無観客試合での開催を検討していた高野連は、センバツ大会初となる「中止」を発表した。

エキシビションマッチ開催はどうか。

 センバツ大会が中止になったのは新型コロナウイルスの感染が拡大したためである。それがいつ収まるのかまったく目途が立っていないが、今大会の出場が決まっていた32校をそのまま放置してはいけないと思う。

 どのように報いてやるのか難しいが、新型コロナウイルスの感染が収束した時点で、公式記録としないエキシビションマッチを開催するのはどうだろうか。

 学生リーグなどとの相談は必要だが、たとえば現時点の予定では5月11~18日の8日間、阪神タイガースは甲子園球場を留守にする。この8日間に32試合を行い、ベスト16を決めるのである。そのあとの準々決勝、準決勝、決勝は後日やってもいいし、やらなくてもいい。ただ、1、2試合だけでもやれば32校の部員に甲子園球場でプレーした思い出は作れる。

 ちなみに、兵庫県の天気出現率(過去30年間の天気の傾向)を見ると、天候は概ね良好、温度は18.8~19.3度とプレーしやすい。6月を想定すれば、9~18日の10日間は甲子園球場が使用されないのでタイトな日程を組めば決勝までやれる(ただ、このうち2〜3日には雨マークがついている)。

大会の見どころは「監督の采配」だった。

 もし今後、何らかの形で32校の試合が行われるとしたら、その見どころの1つは監督の采配になるだろう。

 春、夏を含む甲子園の優勝監督は吉田洸二(山梨学院 ※優勝は清峰時代)、門馬敬冶(東海大相模)、岩井隆(花咲徳栄)、西谷浩一(大阪桐蔭)、岡田龍生(履正社)、小坂将商(智辯学園)、馬淵史郎(明徳義塾)の7人を数え、林和成(星稜)は準優勝、青柳博文(健大高崎)、永田昌弘(国士舘)、鍛冶舎巧(県岐阜商)、中村良二(天理)、狭間善徳(明石商)は4強を経験している。

 さらに迫田守昭(広島新庄)は社会人の三菱重工広島監督として都市対抗で優勝経験があり、高橋源一郎(中京大中京)は昨年秋の明治神宮大会優勝監督で、中谷仁(智辯和歌山)と川崎絢平(明豊)は智辯和歌山の選手として優勝経験があり、佐々木誠(鹿児島城西高)はプロ野球のダイエー時代に首位打者と盗塁王、西武でも盗塁王を獲得し、社会人のセガサミーでは監督として都市対抗出場も果たしている。ここに名前を挙げた監督は32校のうち18人、実に半数以上が注目される監督だったのだ。

 これらの名将がタイトな試合日程の中でどのような継投策を見せるのか、これが私の考える今大会の最大の見どころだった。

 公式記録とならないエキシビションゲームなので勝利のプレッシャーも薄まるはず、ならばピッチャーの連投禁止もついでに盛り込んだらいい。それだけでエキシビションゲームを行う意義はあると思う。

 是非ご一考願いたい。

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