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五輪サッカーは本番直前が勝負。
親善試合中止はシリアスではない。
 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2020/03/12 11:30

五輪サッカーは本番直前が勝負。親善試合中止はシリアスではない。<Number Web> photograph by AFLO

久保建英ら五輪世代の選手たちは、それぞれ成長している。このタイミングでの代表活動削減をそこまでシリアスに捉える必要はない。

4位だったロンドン五輪のケース。

 例えば、4位と近年で最高の結果を出したロンドン五輪の例を見てみよう。

 本大会のメンバーは、7月2日にOAの吉田麻也と徳永悠平を含む18名が発表された。11日に日本で壮行試合となるニュージーランド戦が行われたが、その時、吉田は合流していない。17日にロンドン五輪の事前キャンプ地であるパッキントンで吉田が合流してから26日に初戦スペイン戦を迎えるまで、チームに与えられたのは18日のベラルーシ戦、21日のメキシコ戦の2つの強化試合と9日の練習期間だけだったのだ。

 この短い間に、最終予選とはまるで異なる堅守速攻のチームに変貌したのだ。

 この例のようにチーム作りで重要になってくるのが、OAの選手が入った後の本番直前のキャンプだ。そこでOAの選手を軸にチームを作るのか、それとも五輪世代の中心選手に合わせていくのか、全体としてどう戦うのかを見極め、戦い方を確立する。戦い方がまとまれば、あとは練習試合などで微調整をしていくことになる。

OA加入後がチーム作りの本番。

 ロンドン五輪の時は吉田が先頭に立って守備を構築し、全員がそれに乗った。強化試合のメキシコ戦で守備のやり方を試し、うまくいったことで戦術的な迷いがなくなり、その後はコンディションを整えることだけに集中した。そうして大会の初戦で強豪スペインを破るジャイアントキリングを起こした。

 ロンドン五輪以外でもアテネ五輪では最終予選を戦ったチームの主軸でキャプテンの鈴木啓太が落選し、OAとして小野伸二、曽ヶ端準が入り、本大会では小野を軸としたチームに生まれ変わった。

 リオ五輪の時には塩谷司、藤春廣輝、興梠慎三がOAとしてメンバー入り、大会初戦まで2週間程度の時間があったが、守備を構築できず、ナイジェリア戦で大量失点を喫した。OAがハマらないケースもあり、すべてがうまくいくとは限らないがいずれもOAが加入後、改めてチームを作り直している。

【次ページ】 急ごしらえで結果を出してきた歴史。

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