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「可愛い!」だけじゃない炎鵬。
なぜ小兵力士で、こんなに強いのか?
text by
飯塚さきSaki Iizuka
photograph byKyodo News
posted2020/03/05 11:30
初場所で阿炎を「足取り」で破った際の炎鵬。絶妙なタイミングと技で、満員の国技館を大いに沸かせた。
柔軟性の高さはケガ予防にもつながる。
さらに、どの力士にもある程度共通していることだが、炎鵬も例外なく体が柔らかい。
股割りやストレッチなど、柔軟性の高い体づくりをすることで、ケガ予防にもつながる。
場所中は特に、入念なストレッチを行ってから取組に臨む炎鵬だが、こうしたストレッチは、横綱や専門のトレーナーから教わったものだという。
「少しでも自分の体を使い切れるように、最近は特に腿を重点的にほぐしています。体が動かせると反応もよくなるので、徐々にストレッチの数と種類は増やしてきました。以前よりも体は使えるようになったかなと思います」
こうして培った筋力やしなやかさを武器に、彼は土俵に臨んでいるのである。
炎鵬の魅力その3:最新の栄養学を採用
感銘を受けるのは、稽古やトレーニングだけではない。食が細くなかなか量を食べられない炎鵬は、日々の食生活でも努力している。それは、大きくなるためにただやみくもにたくさん食べる努力の仕方ではない。
「体重が大きく変動すると、取り口が変わってきてしまいます。たとえ99kgでも、体の中身がよければそれでいいんです。数値よりも質を重視しています」と、力強く話す。
では、たくさん食べられない分はどうしているかというと、サプリメントの力を借りているのだという。
これも、ただたくさん飲むのではない。稽古前には「HMB(筋肉量増大・減少抑制のためのサプリメント)」、稽古中には「EAA(9種類の必須アミノ酸)」、稽古後にはリカバリー系のプロテインなどと、タイミングを厳密に考えて摂取しているという。
そのほかにも、グルタミン、「BCAA(疲労回復のためのアミノ酸)」、コラーゲン、ビタミン類など、実に多くのサプリメントを活用していた。
「学生の頃はサプリなんて飲んでいなかったけれど、プロになったら自分の体に一番お金と時間をかけなきゃと思うようになりました。一日一日の稽古でのコンディションが大事になってくるので、毎日ベストな状態で臨めるように生活しています」
一流とは、土俵の上だけではない。土俵を降りたところでの生活もまた、一流としての過ごし方が求められているのだ。