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名前を変えた理由は「ノリっす!」。
楽天・山崎幹史は三木チルドレン。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2020/02/24 09:00
日章学園高、国学院大を経て、2017年ドラフト3位で楽天に入団した山崎幹史。その走力で一軍メンバーの座を手に入れるか。
主導権を握るための「構え」とは。
山崎が昨年、ファームで三木から口酸っぱく言われ続けたのは「準備」だった。
それは、ウォーミングアップや練習、コンディショニングといった、一般的に言われる準備とは異なる。
三木にとってのそれは、プレーにおける主導権を握ることだ。
50mで最速5秒9とも言われる俊足の山崎のケースでは、盗塁における準備を徹底的に仕込まれた。
まず、基本の「キ」として叩き込まれたのが「構え」である。
かつて三木は、構えについての一家言を説いてくれたことがあった。
「ランナーに出た時の構えもそうだけど、守備にも構えがあり、打撃フォームだって構え。その外見の構えも大事だけど、それを安定させるためには内面の構えも大事だと思っているから。『気構え』『心構え』。野球にはアウトカウント、バッターのカウント、イニング、点差……常にいろんな状況があるなかで、的確な判断が求められる。そこでしっかり『構え』を作っていかないと、いいパフォーマンスなんてできないと思っているから」
出塁してからの時間の使い方まで。
構えを築くにあたって、山崎が最初に取り組んだのが「とにかく走る」ことだった。
「失敗してもいいから、どんどん走れ!」
三木に背中を押されるように、試合で盗塁を繰り返す。それと並行して、主導権を握るための鍛錬も積んできた。
ひとつに、出塁してからリードするまでの時間の使い方。三木やコーチが「はい、リードしよう」と言ってから、その体勢に入るのでは遅い。出塁した時点で次の動作に移るための心構えがなければ、すでに主導権は相手に握られていることになる。
連動するように、反応の反復練習にも力を注いだ。首脳陣がバットのヘッドを上げたら、スタートや帰塁する。少しの動きも見逃さないためには、やはり事前の気構え、心構えが大事なのだと教わった。