フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「最も信頼できる」米国名物記者に、
羽生結弦と紀平梨花の今後を聞いた。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byPhoto courtesy of Jackie Wong
posted2020/02/17 18:00
紀平梨花(左)と写真におさまるジャッキー・ウォン氏。日本のディープなフィギュアファンにも有名な存在だ。
日本人記者も「そうだ、ジャッキーに聞こう」
「もともと性格的に、客観的に物事を分析できるほうだと思う。また既存のスケートジャーナリズムにはスケーターからの視線が足りないと感じていたので、それを自分で書いてみたいと思ったんです」
我々日本人の記者も、現場で何か技術的な疑問が出てくると、「そうだ、ジャッキーに聞こう」とたびたびお世話になってきた。
なかには全く現場に来ないのに「米国の名物記者によると」とジャッキーのソーシャルメディアの内容をネタにしてコラムを書き続ける日本のオンラインメディアも存在するほどである。
現在、ウェブサイトはシーズン中は月に20万ほどのヒットがあるという。ツイッターのフォロワーは、3万2000人弱。
「ウェブサイトの読者とソーシャルメディアのフォロワーを合わせて、およそ40%が日本のファンです」
紀平に世界選手権メダルの可能性は大。
さてそのジャッキーが、現在の女子シングルをどのように見ているか聞いてみた。
紀平梨花は、モントリオール世界選手権でメダルを手にする現実的な可能性はあるだろうか。
「もちろんですよ!」と即答した。
「彼女が四大陸でやった演技を見ると、4回転サルコウを入れなくても、フリーをノーミスで滑り切っていたら155ポイントは出ていた。それが出来ていれば、世界選手権でも表彰台に上がるには十分だと思う」
ロシアの若手3人は強敵だが、どうなのだろう。
「3人ともものすごく難易度の高いプログラムです。彼女たちがSP、フリーをノーミスで滑り切るチャンスは、50/50くらい。ロシア選手権でも、欧州選手権でも、彼女たちはミスをしている。だからモントリオールでも何らかのミスをする可能性は高いと言って良い。
世界選手権でノーミスのプログラム8本(トップ4人のSPとフリー)を見ることができたら、ぼくはすごく驚くと思う。だから紀平には表彰台の現実的なチャンスは、もちろんありますよ」