フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
「最も信頼できる」米国名物記者に、
羽生結弦と紀平梨花の今後を聞いた。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byPhoto courtesy of Jackie Wong
posted2020/02/17 18:00
紀平梨花(左)と写真におさまるジャッキー・ウォン氏。日本のディープなフィギュアファンにも有名な存在だ。
心を奪われる素晴らしいプログラム。
実際、GPファイナルと欧州選手権で優勝したアリョーナ・コストルナヤは4回転を跳ばず、ジャンプの難易度でいえば紀平とほとんど変わらない。
「コストルナヤと紀平のジャンプを比べると、スピードと高さはコストルナヤに軍配が上がる。そこが彼女がGOEを稼ぐところです。ただルッツのエッジの正確さでいうと、紀平のほうがきれいなアウトエッジに入っています」
元スケーターらしい、客観的な分析をする。
「紀平は昨年のフリーは、見ていて心を奪われる素晴らしいプログラムだった。怪我などのせいもあったのか、今年のプログラムは、まだその域に達していないという気はするんです」
「羽生は史上最高のスケーター」
男子については、どうだろうか。
「羽生(結弦)は、フィギュア史上最高のスケーターです。ジャンプだけなら、あるいはスケーティング技術だけなら、彼よりもうまい選手はいたかもしれない。でもオールラウンドプレイヤーという意味において、彼ほどの選手はかつていませんでした」
ただこの1、2年、予想するのがとても難しい選手になったという。それは彼だけではなく、身近で取材してきた記者すべてにとっていえることだ。
「ここに来て昔のプログラムに戻したけれど、彼がシーズン途中で古いプログラムに戻すというのは、初めてのことです。
これが世界選手権で最後に燦然と輝くプログラムを演じて引退する決意をしたという意味なのか、あるいは気分一新して北京オリンピックで3連覇を目指すのか、彼以外の人にはわからない。
おそらくブライアン・オーサーだって、本当のところはわからないのではないかと思うんです」