マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
星稜高のキャプテンも育った星稜中。
子供と大人の間、中学野球の大切さ。
posted2020/02/17 08:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
2月もなかば、プロ野球は春のキャンプがたけなわだし、社会人や大学野球も早いところでは九州や沖縄に所を移してキャンプを張ってシーズン到来に備え、まだ対外試合が解禁にならない高校野球も、冬場の体作りから徐々に実戦的な練習に移行している。
まさに「球春」。
センバツだって、いつの間にかあと1カ月に迫ってきた。
桐蔭学園vs.星稜。
甲子園でも間違いなく注目の一戦となるカードだが、これが「中学軟式」となると、まさに、千秋楽結びの一番。東西両横綱の激突! ということになる。
ということで、関東に遠征に来た星稜中学と桐蔭学園中学の練習試合にうかがった。
全国制覇7回の星稜中学に、桐蔭学園中学だって制覇2回。練習試合とはいえ、本気と本気のぶつかり合いだ。
試合が始まってまもなく、正面に飛んだゴロの打球を星稜中学の一塁手がお手玉。
聞けば、まだまだ冬場の金沢なので、グラウンドで野球をするのは秋以来だという。
と、今度はその一塁手がショートゴロの送球を受けると、捕球姿勢のまま2秒動かない。
捕球姿勢のまま、視線だけは三塁に進んだランナーに注いで、ランナーの動きを目で殺していた。
「ウチは進学校でもあるので」
中学生ぐらいだと、次のプレーを想定しておく余裕がなかなかないので、いざ自分がボールを持ってしまうと、オロオロしたりあわてたりするものだが、星稜中学の選手たちのプレーには、それがない。
「優秀な先輩たちのプレーを見てますから、彼らは。ウチは進学校でもあるので、考えてプレーできる子が多い。次、その次……とイメージを作りながら守れるよい習慣がついていると思います」
田中辰治監督は、星稜高がクレバーな左腕・山本省吾投手(現ソフトバンクスカウト)を擁して、夏の甲子園準優勝を果たした1995年のメンバーだった。
そういえば昨年夏、やはりクレバーな右腕・奥川恭伸(現ヤクルト)の大奮投で全国準Vに輝いたチームにも、星稜中学から上がった「星稜球児」が何人もいた。