この間まで小学生だった選手が。

　レフト70メートル、高いフェンスの上のほうを直撃した放物線の打球に続き、左翼手がライン寄りに守って広く空いた左中間を、ライナーが抜けていく。

「狙って打ちましたね。このバッターとさっきのネット直撃の子は、2人だけベンチ入りしている新2年生なんです」

　新2年生なら、去年の今ごろはまだ小学生だ。達者なものだ。

　一方で新3年生なら、来年の今ごろはもう「高校球児」目前。まもなく“戦場”に赴く間ぎわの時期だ。

　まさに、大人と子供のはざま。

　その架け橋になっているのが「中学野球」であろう。

　同じチームの中に、身体的にも、精神的にも、大人に接近している者と、まだ子供の域を脱していない者が混在する難しさ。

　導く人たちの骨折りとご苦労は、知らない者の想像を絶するはずだ。

　頭が下がるばかり。

　そんなこんなを体感させていただいた球春明けてまもない1日であった。