オリンピックへの道BACK NUMBER
強さの要因は「厚底」だけではない。
哲学者・キプチョゲのマル秘ノート。
posted2020/02/09 20:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
KYODO
厚底シューズが大きな話題となってきたマラソン界だが、厚底シューズと言えば、エリウド・キプチョゲの名前もまた、連想される。男子マラソンの、中心にいるランナーこそ、彼にほかならない。
あらためて経歴をたどりたい。
1984年11月5日、ケニアで生まれた。
陸上を始めると台頭。2004年、19歳で出場したアテネ五輪5000mで銅メダルを獲得すると、2008年の北京五輪同種目で銀メダルを獲得した。
2012年、マラソンに転向するとその翌年の初マラソンで好記録をマークし優勝。
2016年のリオデジャネイロ五輪ではマラソンでついに金メダル。それは10代、20代、30代それぞれでメダルを手にすることになった瞬間でもあった。
ついに2時間の壁を破る。
キプチョゲの名を知らしめたのは、こうした成績のみならず、2時間の壁にチャレンジしてきたことだ。
2017年のナイキによる企画「ブレイキング2」で2時間0分25秒をマーク。また、昨年はイネオス社主催の「イネオス1:59チャレンジ」に出場。1時間59分40秒と、ついに2時間の壁を破ったのである。
この2レースは公認されていないため、記録は非公式のもの。それでも2時間を破ったインパクトは大きかった。
そして履いていたのは厚底シューズであった。厚底シューズの威力を知らしめるレースともなった。