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広島の田舎町に野球選手が集うわけ。
気鋭トレーニング施設「マックズ」。
posted2020/02/08 11:40
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Mac's Trainer's Room BASEBALL
あの若者たちは今もまだ、頑張ってるんだろうな――。
日本プロ野球のキャンプが始まったというニュースを聞いて、そう思った。「あの若者たち」とはこの1月、広島のとある田舎町にある「Mac's Trainer Room BASEBALL(以下マックズ)」で自主トレーニングをしていた日本プロ野球の選手たちのことだ。
昨季、球団史上初のワールドシリーズ優勝を成し遂げたワシントン・ナショナルズでトレーナーをしていた高島誠が運営するトレーニング施設「マックズ」は、球速アップのための胸郭、胸椎トレーニングや、股割りメソッド、股関節、骨盤の回旋運動など、野球のプレーを前提とした考えの中でトレーニングを行う施設である。
たとえば、パルクール。
山登りからボルダリングが派生したように、パルクールもフランス海軍の将校が作った軍事訓練を基礎とし、エンターテイメント的な側面から競技としても成立している。壁を素早くよじ登ったり、大きなギャップを飛び越えたりする競技としてのパルクールは、日本の「サスケ」をルーツとしたアメリカの人気テレビ番組「Ninja Warrior」を連想させる。
練習に取り入れたパルクール。
ただし、野球に特化したトレーニング施設であるマックズでは、怪我するリスクなく、投手や打者の体重移動や重心位置の感覚を養うのが目的なので「壁を素早くよじ登ったり、大きなギャップを飛び越えたり」するのは必要ない。地上に置いた何種類かの特製の鉄棒(パルクール・バー)の上を飛び移るのがメインになる。
「それでも棒の上から落ちないようにするには、体の力を入れたり抜いたりしながらバランスを取らないといけない。自分の重心がどこにあるのかを素早く見つけるには、全身を使わないとうまくできないんです」
と高島は言う。元野球少年の彼がパルクールを取り入れた理由は、単純明快だった。