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広島の田舎町に野球選手が集うわけ。
気鋭トレーニング施設「マックズ」。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byMac's Trainer's Room BASEBALL
posted2020/02/08 11:40
米独立リーグの赤沼淳平も「マックズ」でトレーニングする1人。野球がうまくなる方法の可能性は無限だ。
「僕らの子供の頃って……」
「僕らの子供の頃って、ジャングルジムで遊んだり、鉄棒で遊んだりするのが普通だった。器具じゃなくても、公園にある岩と岩の間を飛び移ったり、木登りしたりして、体の重心をどこに置いたらいいのかというのを自然と理解して、野球をやる前にある程度は投げたり打ったりする動きの基礎みたいなものができていた。
今は親が『危ないことはやっちゃいけない』と言うだけじゃなく、子供の方がやらない時代。もちろん、そういうことを実際にやったら危ないのは間違いないし、じゃあどうすんだ? と考えた時にこれがあった」
たとえばラプソード。
過去数年の間に日米両方のプロ野球で急速に広まっている最新のテクノロジーで、投手なら投球の回転数や回転軸や変化の度合い等々、打者なら打球の飛び出し角度や速度などを計測し、その場で確認できる。
「単純に自分が投げる球の回転軸とか回転数とか分かった方がやってて楽しいし、その方が効率よく技術も上がる。僕らだって野球の見方が変わるし、プロ野球だけじゃなく、大学でも高校でも、使えるものはどんどん使った方がいいと思う」
マックズで自主トレしていたプロ野球選手。
高島が「まだまだ狭い」と未来の拡張を目指す施設には、ラプソードが設置された練習場以外にも、前出のパルクール(・バー)に加え、ペンタゴン・バーやヘックス・バーと呼ばれるウェート・トレーニング器具、瞬発力を鍛えるボックス・ジャンプも用意されている。
パルクールやボックス・ジャンプは、バランス感覚が必要な上に「体幹を使わなければできない」(高島)。難易度の高いそれをまるでボクサーのようにバランスが取れた動きでスイスイこなしていたのが、高校時代から「マックズ」で自主トレーニングを行っているオリックスの山岡泰輔投手だった。昨季13勝を挙げた日本プロ野球期待の右腕である。