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広島の田舎町に野球選手が集うわけ。
気鋭トレーニング施設「マックズ」。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byMac's Trainer's Room BASEBALL
posted2020/02/08 11:40
米独立リーグの赤沼淳平も「マックズ」でトレーニングする1人。野球がうまくなる方法の可能性は無限だ。
テクノロジーの時代の練習方法。
「自分の場合、結果が出ているから継続しているだけのこと。結果が出てなきゃ、やってないですね。自分は高校の時から、何を言われても自分に合わないなと思ったらやらなかったし、それは今でも変わらないですよ」
と山岡は言う。ドライな視線に思えるが、指導する側の在り方が議論されるようになった昨今の野球界で、彼のように強い意志を持っている選手が台頭しているのは偶然のことじゃないだろう。
野球の技術にしろ、トレーニング方法にしろ、昔は一部の人たちだけが持っていた情報が、今ではTwitterやYouTubeなどを通じて誰でも簡単に手にすることができる。
「テクノロジーの時代」に育った選手たちが、「自分たちの時代」に固執してアップデートしない指導者を上回る情報を持つことができる時代になったのだから、あとは本人が情報の取捨選択をできるかどうかだ。「マックズ」に来ていた選手たちも、それは変わらない。
パの新人王もやってきた。
その中の1人が、昨季のパ・リーグ新人王であるソフトバンクの高橋礼投手だった。
「最初は全然できませんでしたけど、やってく内にちょっとずつ、できるようになってきた感じです」
侍ジャパンのチームメイトで同年代の山岡が、2017年のデビュー以来、怪我することなく毎年、淡々とイニングを重ねることに「なぜだろう?」と興味を持った彼は、何の先入観もなく「マックズ」にやって来て、今の自分に足りないものを再発見したという。
「今は腹筋に(疲労が)キテるけど、それは体幹が弱いからです。自分が投げてるYouTubeとか見ていて、人には『いいね』とか言われるけど、まったく満足してないんです。(投球)フォームとかも安定してないし、自分ではまだまだだと思ってます」
今の自分に満足できない、というのはアスリートに必要不可欠なものだ。満足したら、それで終わり。諦めることと、ほとんど同じである。