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アジア杯決勝、五輪世代と続く誤算。
森保監督への懸念は「兼任」である。
posted2020/01/29 19:00
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
サウジアラビアとの死闘を制し、韓国の初優勝で終わったAFC U-23アジア選手権。五輪開催国として2度目の優勝を期待されながら、グループリーグ敗退で終わった森保五輪ジャパンに対しては、当然ながら批判が高まっている。
だが、森保一五輪代表監督本人にも、日本サッカー協会技術委員会にも田嶋幸三会長にも(少なくとも表面上は)ブレは見られない。なぜかといえば、失敗の原因がハッキリしているからなのだろう。
たしかに失態ではあった。だが、条件さえ整えば、日本はアジアはもちろん世界とも戦えるし、五輪でも金かどうかは別にしてメダルを十分に狙える。森保も協会もそう確信しているし、世界から見た開催国・日本に対する客観的な評価であるようにも思える。
なにを能天気な、と思われる向きも多いだろう。中には冗談ではなく脳の血管が何本かブチ切れた方もいるかもしれない。
もちろん修正は必要である。なぜならばここに来て目立つのが繰り返される同じミスであり、しかもそれは森保が自身の長所だけを発揮していればうまくいっていたときとは異なり、彼が何らかの形で補わねばならない種類のものであるからである。
相手国のインテンシティを見誤った。
では、彼は何を見誤ったのか。
サウジアラビアとシリア、カタール、日本が入ったAFC U-23選手権グループBは「死のグループ」だった。
アジアの盟主を自負しながら、五輪は'96年アトランタ大会以来出場がないサウジアラビア。2年後のワールドカップ開催国であり現アジアチャンピオンでもあるカタール。ダークホースのシリアも含めどこも、五輪開催国であり親善試合でブラジルを破った日本に本気で挑みかかってきた。
そのテンションとインテンシティの高さは、森保と選手たちの予想をはるかに上回っていた。