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期待の19歳アペルカムプ真大カール。
デュッセルドルフで“その時”を待つ。 

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

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photograph byGetty Images

posted2020/01/26 11:40

期待の19歳アペルカムプ真大カール。デュッセルドルフで“その時”を待つ。<Number Web> photograph by Getty Images

アペルカムプ真大カールにクラブがかける期待は大きい。ブンデス、さらにその先の舞台に期待したい。

歪な変形ディフェンスライン。

 2020年1月18日、ブンデスリーガ第18節。フォルトナvs.ブレーメンの選手リストにはアペルカムプ、そして大迫勇也の名前がありました。

 アペルカムプは、奇しくも今季第1節のブレーメン戦でメンバー入りして以来2度目のベンチ入りです。しかし、ふたりはいずれもベンチスタートとなり、日本人対決の行方は試合の推移に委ねられることとなりました。

 僕の注目点はひとつ。

 足を負傷してしまったことでベンチ前に並べた椅子に座って指揮を執るブレーメンのフロリアン・コーフェルト監督……ではなく、はたまたフォルトナのサポーターが陣取るゴール裏スタンド前で罵声を浴びながらウォーミングアップに励む大迫……でもなく、まずはアペルカムプのポジション争いのライバルであるフォルトナの右サイドバック、マティアス・ツィンマーマンのパフォーマンスについてでした。

 実はこのツィンマーマンも本来はMFで中央エリアのポジションが主戦場ですが、フンケル監督は右サイドバックのレギュラーに据えています。ツィンマーマンは局面によって異なりますが、自軍が攻撃態勢に入った際には極端なまでに敵陣へ入り込んでアタックへ関与していました。

 一見すると、「あれ? フォルトナって3バックだったっけ?」と思うくらいにバックラインが右肩上がりなのです。この歪な変形ディフェンスラインは昨季までボルシアMGの指揮を執ったディーター・ヘキング監督も用いていた戦術です。

 ツィンマーマンはボール扱いに長けるスキルフルな選手ですが、現状は高速アタックへ積極的に関与するハードワーカー的な印象を受けます。

「偽ウイング」を求められる可能性。

 もしツィンマーマンと同様の役割をアペルカムプが担うとすれば、「偽サイドバック」的にインサイドエリアへ入り込むのではなく、「偽ウイング」として味方右ウインガーとコンビネーションする必要があるかもしれません。

 ちなみにフォルトナはウィンターブレイクを挟んで負けが込んでいますが、その間もツィンマーマンのレギュラーは固定される一方、右ウインガーは試合毎にスターティングメンバーが代わっています。

 試合は激しいカウンターの浴びせ合いから双方に何度も好機が生まれますが、なかなか得点には至らず。それでも67分、FKからニクラス・モイサンデルがヘディングシュートを打ち込み、GKフロリアン・カステンマイアーの肩にボールを当ててブレーメンが先制。大迫が86分に途中出場して逃げ切りに貢献する一方、アペルカムプに出場機会は訪れず。結局ホームのフォルトナはスコアレスで敗戦し、リーガ5連敗となりました。

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