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ピレスが語る、フランス代表の未来。
規格外のムバッペとジダン、アンリ。
posted2020/01/27 11:15
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph by
AFLO
2003-'04シーズンにプレミアリーグ無敗優勝を果たしたアーセナル。その“インビンシブルズ”の中心だったロベール・ピレスが、サッカースクールでの指導のために来日した。
アーセナルの栄光と現在について語った前編に続き、この後編ではフランス代表での経験やチームメイトについて明かす。
――今度は、フランス代表について聞かせて下さい。ロシアW杯で優勝を果たした現代表をどう見ていらっしゃいますか。
「非常に組織されたチームで、欠点らしい欠点がない。今の代表は、再び良いサイクルに入っているね。キリアン・ムバッペら若手と、エンゴロ・カンテら中堅の選手がバランス良く揃っている。また、戦術が明確でプレーに迷いがない。ロシアW杯の優勝は、決してサプライズではないよ」
――大会では若手の台頭もあり、そして各々が与えられた役割を忠実にこなしていました。
「その通りだ。守備的と批判されることもあったが、ディディエ・デシャン監督はポール・ポグバやムバッペといった若い選手にも規律を植え付け、チームのポテンシャルを最大限に引き出した。デシャンのもと、チームがまとまっていたからこそ優勝を果たすことができた」
ムバッペはまさにフェノーメノだ。
――あなたが感じる、現代表の強みはどんな部分ですか。
「誰もがハードワークし、チームの中に特別な存在を作らないことだ。誰かが怪我で戦列を離れても、代わりとなる選手がいる。非常に高いレベルで安定しているといえる。たとえエースであるアントワン・グリーズマンが出場できなくても、大きな戦力ダウンに繋がらないチーム力と選手層がフランスにはある。ただ唯一例外といえる存在になる可能性があるのは、ムバッペだ」
――ムバッペの才能をあなたも認めているということですか。
「彼の才能は規格外だ。まだリオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドの域にまでは達していないが、将来的には彼らのレベルに到達する可能性を秘めているとみているよ。あのスピードと推進力、身体能力はまさにフェノーメノだ。
ただ彼はまだ若すぎるので、時に自制心を持つことも必要だ。彼くらいの年齢の選手というのは、謙虚な姿勢で経験を積む必要がある。メッシやロナウドも彼の年齢の時は、お金にこだわるよりもひたむきさが目立った。周囲が彼にブレーキをかけ、道に迷わないようにすることで才能は伸ばせる。あくまで個人的な意見だが、ネイマールのようにお金で揉めるようなニュースはあまり見たくないな」