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レアルとバルサのバルベルデに見る、
未来を切り開く「勇気ある決断」。 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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posted2020/01/16 11:50

レアルとバルサのバルベルデに見る、未来を切り開く「勇気ある決断」。<Number Web> photograph by Getty Images

中盤インサイドハーフとして、マドリーの定位置を奪いつつあるバルベルデ。競い合う相手がモドリッチというのも豪華な話だ。

セティエンはイズムを取り戻せるか。

 今回のスーペルコパで、中盤にMF5枚を並べた采配にも見られるように、緻密な戦術・戦略こそ持ち合わせないものの、ジダンには個を輝かせる卓越したマネジメント能力と、思い切った策を大舞台でも平然と実行に移せる胆力がある。慎重居士のバルベルデとの、そこが決定的な違いだ。

 これもすべては、「勝利のための決断」である。後任に迎えたのは、ヨハン・クライフの信奉者として知られるキケ・セティエン。記憶に新しいのは、ベティスを率いていた2018-19シーズン、敵地カンプ・ノウでのバルサ戦だ。最終ラインから丁寧にボールをつなぐ、バルサのお株を奪うような能動的なサッカーで、ベティスは激しい打ち合いを制して4-3の勝利を収めている。

 望んでいたシャビ(カタールのアル・サード監督)にオファーを断られたとはいえ、方向性を同じくするキケの就任でまず目指すのは、失われたバルサイズムの回復であろう。

 もちろん、未来のことは誰にも分からない。得点源であるスアレスの負傷離脱で、先行きに暗雲が垂れ込めているのも事実だ。それでも、現状に甘んじることなく、さらに大きな勝利を掴むために下したバルサ首脳陣の決断を、個人的には評価している。

 そして、再びここで、日本サッカーに思いを馳せるのだ。

 AFC U-23選手権で、屈辱のグループリーグ敗退を喫したU-23日本代表。勝利のために、東京五輪で金メダルを掴むために「決断の時」は今かもしれない。2人のバルベルデにまつわる2つの勇気ある決断を見て、なおさら強く、そう思うのだ。

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