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レアルとバルサのバルベルデに見る、
未来を切り開く「勇気ある決断」。
posted2020/01/16 11:50
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph by
Getty Images
未来のことは誰にも分からない。大切なのは「勝つための決断」を、迅速に、勇気をもって下せるかどうかだ。予測不能な未来に恐れおののいていては、勝利につながる一歩は踏み出せない。
今シーズンから、スペイン・スーペルコパの大会方式が変更になった。これまでは前シーズンのリーガ王者とコパ・デル・レイ王者が、新シーズンの開幕前にホーム&アウェーで対戦(昨シーズンは例外的に中立地のモロッコで一発勝負)。プレシーズンの風物詩となっていたが、今シーズンからリーガとコパそれぞれの上位2チーム、計4チームによるトーナメント戦となり、シーズン真っ只中の1月に中立地のサウジアラビアで開催されることとなった。
大会MVPに輝いたレアルの“フェデ”。
結論から先に言えば、このトーナメントを制したのは、昨シーズンのリーガ3位、レアル・マドリーだった。
リーガ王者のバルセロナが、コパ・デル・レイで準優勝となったことで繰り上がり出場となったマドリーは、初戦の準決勝でバレンシア(コパ・デル・レイ王者)を3-1で下すと、決勝ではバルサを逆転で退けて勝ち上がってきたアトレティコ・マドリー(リーガ2位)を延長PK戦の末に下し、通算11回目のタイトルを手にしている。
つまり、これまでのレギュレーションなら出場資格のない2チームがファイナルを戦い、しかも繰り上げ出場のマドリーがチャンピオンになってしまったわけだ。サウジアラビア開催という点も含め、新たな大会方式には賛否両論があるだろう。
ただ個人的には、リーガ後半戦に向けて、強豪4チームをまとめてチェックできる機会だけに、ありがたかった。
前置きが長くなった。
今回のスーペルコパで大会MVPに輝いたのは、目下売り出し中のウルグアイ代表MF、“フェデ”ことフェデリコ・バルベルデだった。
リーガ6節のオサスナ戦で初スタメンを飾って以降、マドリーの中盤にすっかり不可欠な存在となったフェデ。4-3-3システムの右インテリオール(インサイドハーフ)を基本ポジションに、その恵まれた体躯を活かしてダイナミズムを注入する21歳の大器は、開幕前のポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)待望論を、完全に過去のものとしている。