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春高バレーの過密日程に「ノー」。
高校生の努力に報いる策はあるのか。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKyodo News
posted2020/01/16 11:40
最後の春高は準々決勝で駿台学園に敗退した水町泰杜(鎮西)。高校卒業後は早稲田大学に進学予定だ。
浮かび上がる過密日程の問題。
3年間という短い時間で、高校生たちは驚くほどの成長を遂げていく。だから毎回、高校生3年生のバレーボール選手にとって最後の大会である全日本バレーボール高等学校選手権大会、通称“春高”を取材するたび胸が熱くなる。
だが、だからこそ見過ごしてはならない問題点も年々色濃く浮かび上がる。
過密日程による選手への過大な負荷と、昨年の水町のみならず試合中に足を攣る選手が減るどころか増え続ける現状。そもそも優勝するためにはわずか5日間で最大6試合を勝ち上がらなければならず、大会3日目には3回戦と準々決勝のダブルヘッダーを戦わなければならない。
7日の準々決勝から3日空き、準決勝は11日、決勝は12日に行われたが、準決勝は女子に次いで男子、の順番であったにも関わらず、翌日の決勝は男子が先。しかも準々決勝までは3セットマッチで行われるのに対し、準決勝からは5セットマッチになるため運動強度も負荷も疲労度も一気に増す。
決勝が女子、男子の順であれば……。
女子の2試合がフルセットだったため、男子の準決勝2試合目、清風と駿台学園の試合開始は17時過ぎで、試合が終わったのは19時10分。栄養補給、休養、睡眠と翌日の試合に備え、リカバリーに必要な時間は最低でも24時間とされる中、勝利した駿台学園の選手が宿舎に戻り食事を終えたのは21時半。
それから試合に出場した選手に対して治療を施し、23時過ぎに就寝。11時半開始の決勝に向け、翌朝の10時には会場入りしなければならないため、ミーティング時間も計算し、朝食は7時。
もしも試合が準決勝と同様に女子、男子の順であれば、午前中はもっと余裕を持って過ごすことができる。それは専門家の目で見ずとも、誰もがわかることであるはずだ。