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遠藤航の“待つことができる”才能。
ブンデス昇格へ、試運転は済んだ。
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2020/01/16 08:00
東京五輪オーバーエイジ枠の有力候補ともされる遠藤航。ドイツの地でリーダーシップと中盤としての能力が花開くか。
5万人のファン、最高っすよね!
相手に先制点を許しながら、遠藤が2得点に絡む活躍を見せての逆転勝ち。ホームスタジアムに詰めかけた4万8971人のファンとともに勝利を喜び合った。遠藤も嬉しそうに試合を振り返る。
「もう最高っすよね。5万人近くの人がサポートしてくれるし、その雰囲気、得点が入った雰囲気とか、最高なものがある。やっぱり彼らのためにも勝利を届けたいし、とにかく自分のプレーを続けていけばいいと思います」
ただ、これですべてが順風満帆にいくわけではない。昇格が厳命されるチームは思い通りには勝ち点を積み重ねていくことができず、ホームで勝って、アウェーで負けてを繰り返している。
2019年最終戦となったハノーファー戦後には、成績不振を理由にワルター監督が解任されてしまった。昇格圏内の3位につけていて、2位ハンブルガーSVとの勝ち点差もない立ち位置ながら、首脳陣は内容に不満を持っていたという。
新監督は、ホッフェンハイムでアシスタントコーチを務めていたペジェグリーノ・マタラッツォ。監督交代によってスタメン争いは振り出しに戻されたが、今季序盤とは違い、すでにプレーで自分の重要性は示してある。また、同じボランチのアスカシバルがヘルタ・ベルリンに移籍したこともあり、おそらく計算できるアンカーとして起用されるはずだ。
「アンカーで出続けるのであれば」
「ここ最近しっかり試合に絡めていたし、(出場した)最初の3試合は自分なりにいいパフォーマンスを続けられていたと思います。大事なのは続けること、試合に出続けること。そういうプレーを続けていかないといけないという意味では、自分もまだまだなのかなと思います。こうしてアンカーとして試合に出始めているのも初めての経験ではあるので、いろいろ試行錯誤しながらやっていければ」
ハノーファー戦後には、ここまでをそんなふうに振り返った。
目指している場所はここではない。もっと先にある。2部リーグで経験を積み、チームと1部に臨む。より上のステージで、よりクオリティの高いプレーをするために、やるべきことはまだまだたくさんある。
「アンカーで出続けるのであれば、もっと守備にフォーカスして、できるだけ多くカウンターの芽を潰すことを意識すべきだと思います。また攻撃の部分、自分のところでターンして前に(パスを)つけられるかどうか。そのあたりの自信というか、勇気を持ったプレーが大事になってくると思うので。今日みたいにミスになることもあると思いますけど、大事なのは続けていくことだと思います」