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西野朗率いるタイ、東京五輪なるか。
時間の使い方は未熟も気概はある。

posted2020/01/14 11:50

 
西野朗率いるタイ、東京五輪なるか。時間の使い方は未熟も気概はある。<Number Web> photograph by Kyodo News

オーストラリア戦に負けたとはいえ、開催国のファンに応える西野監督の表情には手ごたえを感じる。

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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 AFC U-23選手権の序盤で、日本戦の次に気になる試合──。開催国タイとオーストラリアが相まみえたグループA第2戦は、我々サッカー好きの日本人にとって、そんな位置付けだったはずだ。

 タイを統率するのは、24年前のアトランタ五輪で日本を率いてブラジルを破り、2000年代にガンバ大阪で一時代を築き、一昨夏のロシアW杯でグループステージを突破した西野朗・元日本代表監督。対するオーストラリアは先月にJ1を制したアンジェ・ポステコグルー監督が育った国(生まれはギリシャ、国籍は豪州)だ。

 ただし同指揮官は、過去に率いたオーストラリア代表について「成長という意味では、率直に言って後退している」と1年半前に英ガーディアン紙に語ったほか、同代表は近年育成の遅れや才能の減少が指摘されている。

 2000年代には黄金世代を擁して域内の盟主のひとつと目され、2015年にはポステコグルー監督のもとでアジアを制して一度は息を吹き返した豪州。しかし直近のW杯ではグループステージ敗退を3大会連続で記録し、昨年のアジアカップでは準々決勝敗退。五輪は過去2度、出場権を逃している。

発展途上のタイ、課題が浮き彫りに。

 そんなオーストラリアを、今大会初戦でバーレーンに5-0と大勝し、勢いに乗る西野監督のタイがホームのファンをバックに迎撃する。

 バイクタクシーでひどい渋滞をすり抜けながらラジャマンガラ・スタジアムに向かう道中、風と光を受ける心地よさのほかに、フットボールフリークの自然な高揚をふつふつと感じた。

 この数日ですっかりタイが気に入った僕や同業者は、初戦の大勝と同胞の監督びいきもあって、キックオフ前には「停滞気味の豪州にタイが勝ったらグループ突破が決まりますね」なんて軽口を叩いたりしていた。けれど結果から言えば、若き戦場の象たち(タイ代表の愛称)はサッカールーズ(豪州代表の愛称)に1-2の逆転負けを喫した。

 スコアが示す通り、オーストラリアに歯が立たなかったわけではない。しかし発展の途上にあるタイの課題が浮き彫りになった試合でもあった。

【次ページ】 西野監督は選手の献身を称えたが。

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