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斎藤佑樹、独占インタビューで語る。
「自分が野球選手であることの意義」 

text by

田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

PROFILE

photograph byShigeki Yamamoto

posted2020/01/07 11:50

斎藤佑樹、独占インタビューで語る。「自分が野球選手であることの意義」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

2019年は11試合に登板、来季もさまざまな場面での起用が予想される。オフには結婚発表もあり、さらなる活躍を期待したい。

イチロー、同期・大石の引退。

――2019年は自主トレをともにしていたイチローさんが引退しました。最後の試合を見てどのようなことを思いましたか。

 自分の知らない時代の、王(貞治)先輩や長嶋(茂雄)さんが引退するときもこういう感じだったのかなという……ひとつの時代の終わりを目の当たりにして、その光景を見られたことにも価値があると思いましたし、選手としてイチローさんと一度は対戦したかったという心残りもありました。

――イチローさんとの練習で印象に残っていることは。

 バッティングがすごいのはもちろんなんですけど、身体がしなやかで、こんなにボールの出どころが低くて強い球を投げられる人がいるんだ、と感じました。

――早大で同期だった大石達也投手も引退しました。

 うーん、自分も人のことを言っていられない立場なので……大石が引退すると聞いたときはより一層、緊張感が高まりましたし。一緒に戦ってきた仲間でありライバルなので、この気持ちをどう表していいのかわからないです。

――30代に入って、結果が出ないと引退が頭をよぎったり、焦りが生まれたりしませんか。

 もちろん、結果も出したいし、最後の最後まで野球を続けたいと強く思っています。ただ、最近は野球と自然に向き合えていると感じます。いつ辞めなければならないんだろうと怯えながらやっているのではなくて、大好きな野球ができることが練習中も身に沁みています。

――その境地に至るまで大変だったのではないですか。

 言葉で表現するのは難しいんですけど、自然とそういう気持ちになりましたね。確かにここ数年は焦りの方が大きかったので、それは今までになかった不思議な感情でした。これまでは苦しいばかりでしたが、このオフは野球がすごく楽しいと思えています。

「気持ちはずっとルーキーのまま」

――プロ10年目を迎えますが、球界での自らの立ち位置をどのようにとらえていますか。

 まだまだトライしていきたいですし、結果を出さなければいけない立場でもあるので、気持ちはずっとルーキーのままです。その中でも、ここ数年は「自分がプロ野球選手である意義は何だろう」と考えるようになりました。自分が世の中に与えられる影響って何だろうなと。

――「斎藤佑樹」であることを生かせるのではないかと。

 プロで実績は残せていませんが、アマチュア時代に名前を知ってもらえたので、球数制限や過密日程の問題など、自分じゃなければ発信できないメッセージもあるんじゃないかと、そういうことも考えていかなければいけないと思っています。

――このオフも野球教室や医療従事者に向けた講演会など、各種のイベントに積極的に参加しています。

 野球教室については、僕たちが育てられてきた野球を今後も継続して、子どもたちに興味を持ってもらえる分野にしていきたいという思いがあるので。講演は、野球の現場と医療関係の方々がコミュニケーションを取って、選手の身体により良いものを提供できるようになればいいと思って引き受けました。意外と現役選手の声を医療関係の方が聞く機会はないんだと思いましたし、僕も球数や日程の問題について、医療の観点からどう見えているのか知りたいことが多かったので、とても良い機会でした。

――最近の子どもたちの野球熱はどのように映っていますか。

 野球教室に行けば、子どもたちが野球している姿はみんな楽しそうですよ。これだけいろんな娯楽があって、子どもたちの選択肢が豊富なのは日本にとっていいことですけど、自分が育ってきた野球もいいものですよということを伝えていきたいです。野球をやってみた上で「やっぱり違うな、ほかのスポーツにしよう」となるならいいんですけど、野球の楽しさを知る機会が減るのはもったいないことですし、それは僕らにできることかなと思いますね。

――1月には早大の先輩、和田毅投手(福岡ソフトバンクホークス)と合同自主トレを行います。

 和田さんが気に掛けてくださって、実現しました。長く第一線で活躍されている和田さんがどういう思考で野球に取り組んでいるのか、自分の野球人生のためにも何かを得られるようにしたいと思います。

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