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ジャマイカ戦の収穫は9-0ではない。
五輪世代の主将・中山雄太が一変。
posted2019/12/29 12:45
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph by
Getty Images
2019年を締めくくるキリンチャレンジカップU-22ジャマイカ戦は、先月に行われた広島でのショッキングな敗戦を吹き飛ばすようなゴールラッシュとなった。
試合の入りから攻守にアグレッシブな姿勢を見せるU-22日本代表は、前半5分に中山雄太の見事な直接FKで先制点を奪取。そこからあれよあれよという間にゴールを積み重ね、終わってみれば8人の選手で9得点を奪い、大量得点で勝利を手にするに至った。
もちろん相手のレベルが低かったことは考慮する必要がある。プレッシャーをかければミスを繰り返し、球際や身体能力といった面でも違いを見せてくることはほとんどなかった。
ただ、1カ月前、0-2と完敗したU-22コロンビア戦では、攻守に連動性がなく、選手1人ひとりのポテンシャルを最後まで発揮できなかったチームが、ここまでの変身を見せたことは評価するべきだろう。あの敗戦をきっかけにしてチームに変化が生まれたことが、この試合の最大のポイントだったのである。
静かなキャプテンが身振り手振りで。
今回の長崎遠征では、これまでとは違う光景がピッチ内外に映し出されていた。
1つひとつの練習の合間や練習後のランニング時、選手たちがプレー面に関して話し合う姿が何度も確認できた。以前も多少は意見を出し合う姿は見られていたが、明らかにその回数が増えたと感じるほど、選手たちは積極的に意見交換を行っていた。
その中心にいたのが中山雄太だ。
この世代のキャプテンを務める選手ではあるが、今まではどちらかというと声を出して周りを鼓舞するタイプではなく、黙々と背中でチームをけん引するタイプだった。
そんな中山が身振り手振りでコミュニケーションを取り、ピッチでチームとしての共通意識のすり合わせに全力を注ぐ。その姿は意外でもあったが、本人の言葉を聞けば現状を打開したいという強い思いを理解することができた。
「これが全てではないけど、こうやって全体を通して話していく中で、自分が思っていることを発信するというのは、結果がどうであれ終わった時に『こうしておけばよかった』というのをなくすことになると思う。それが大事だと思うし、そこはどんどんやっていくことで、これが習慣になっていけばいいと思います」