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ジャマイカ戦の収穫は9-0ではない。
五輪世代の主将・中山雄太が一変。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byGetty Images
posted2019/12/29 12:45
ジャマイカ戦では身振り手振りでチームをけん引した中山雄太。見事なFKも決め、存在感を発揮した。
A代表を経験した中山が求める変化。
きっかけはコロンビア戦の敗戦だった。「思い返せば勝っている試合も、過去の活動でも、そういう発信があったかというとやっぱり不足していた」と振り返る中で、チームとして完敗を喫しただけでなく、来年に控える東京五輪に向けての危機感が大きく募る結果を受けて「今回トライしてみよう」と考えたと言う。
来年の東京五輪に向けて悔いを残したくない。コパ・アメリカや親善試合でA代表を経験し、このチームの中心を担う中山だからこそ現状に変化を求めた。
今合宿で中山は積極的に動き、森保監督と相談した上で、選手だけのミーティングを実施。試合前日も選手同士で意見交換を行うことで意識の共有を図った。
この変化に周りの選手たちもしっかりと反応している。先月の広島遠征に参加していた長沼洋一は、前回との違いをこう表現する。
「雄太くんが中心となって選手主導でミーティングをしたり、『明日の試合をどうしたいか、ああしたいか』みたいな話をすることができた。そこが良かったのかなと思います。特に数少ない活動の中でどれだけできるかは、コミュニケーションの部分がすごく大事だと言っていた。そこをもっともっと染み込ませたいと雄太くん自身が言っていたし、みんながそういう風にやれたというのが良かったと思います」
準備面で表れた確かな成長。
10月のブラジル遠征以来の招集となったジャマイカ戦で2得点を奪った旗手怜央は、その上で競争意識を持てたことが勝利につながったと説明している。
「雄太くんがA代表で経験していることを自分たちに落とし込もうとしていたことで、それにみんなが応えようとしたところはあったと思う。その結果、ピッチ内でもピッチ外でもすごく話すようになった。またそういうのがありながらも、自分みたいに試合に出られていない選手が、出ている選手のポジションを奪ってやろうというのは、みんなが心の中で思っていたところだと思う。そういう競争の部分でも表現できたのは良かったと思います」
チームとしてやるべきことがある中で、ピッチ内での変化に対応するためには選手たち同士で改善しなければいけないときもある。そういった状況に備える意味でも、お互いの意見を出し合い、どうすることが最善の策なのかを練っていく。準備の面で確かな向上があったことは間違いないだろう。
「究極を言えば、試合中に『相手がどうしてくるから、こうする』みたいなのをスムーズに行えることが一番いいと思う。正解はずっと追い求める形になるとは思うけど、その意識はかなり大事かなと思います」(中山)