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火付け役はフラメンゴのジェズス。
ブラジルは空前の外国人監督ブーム。
text by
下薗昌記Masaki Shimozono
photograph byMasaki Shimozono
posted2019/12/21 09:00
フラメンゴの選手に熱く指示を送るジェズス監督。彼のような外国人監督が増え、ブラジルサッカーも変わるのかもしれない。
魅せながら勝つことで流れが一変。
フラメンゴで完全復活したリオ五輪のブラジル代表、「ガビゴル」ことガブリエルが完全復活。ブラジル代表に今年招集されたブルーノ・エンリケやウルグアイ代表のデアラスカエタら攻撃のタレントが圧倒的な破壊力を見せつけたのが今季のフラメンゴだ。
ブラジル全国選手権のベストイレブンに9人が名前を連ねたフラメンゴの武器はその得点力。38試合で稼いだ計86ゴールは、得点数で2位だったグレミオを22点も上回るものだった。
魅せながら勝つ――。そんな「ジェズス効果」が早くもブラジルを変えつつある。外国人監督へのさらなる門戸開放だ。
ブラジル全国選手権で2位に終わったサントスも、今年は元アルゼンチン代表の指揮官、ホルヘ・サンパオリ監督が指導してきたが、奇しくもワンツーフィニッシュを飾ったのは2人の外国人監督だ。
現在ペルー代表を率いるリカルド・ガレカは2014年にパルメイラスで監督を務めたものの、目先の結果にこだわるクラブは短期で解任。そして現在韓国代表のパウロ・ベント監督も2016年にクルゼイロをわずか2カ月で追われるなど、長期的なビジョンのないブラジルのクラブの多くは外国人監督で栄冠を手にしてこなかった。
二匹目のドジョウを狙う流れが。
ただ、二匹目のドジョウを狙う動きは王国で活発化する一方だ。
インテルナシオナルはアルゼンチンのラシンをリーグ制覇に導いた若き闘将、エドゥアルド・コウデ監督を新たに招き、今年のブラジル全国選手権で2部降格が決まったアヴァイーでは来年、ポルトガル人のアウグスト・イナシオ監督にクラブの再建を託すことが決まっている。
そしてサンパオリ監督が退任したサントスは、コパ・リベルタドーレスも戦う来季に向けて再び外国人監督の招聘を模索。今年2月までトルコ代表で指揮したルーマニア人のミルチェア・ルチェスク監督にオファーを出したと報じられている。
一方で、外国人監督を招く流れに警笛を鳴らすのがドーハでフラメンゴを取材するブラジルきっての敏腕ジャーナリスト、パウロ・ビニシウス・コエーリョ氏である。
「私はポルトガル人だから、外国人だから優れているとは言わないし、ブラジル人の監督がダメだとも言いたくない。ひとつ言えるのはジェズス監督が自ら言うように彼は特別な監督だということだ」