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過去16年でラグビー部員は3割減。
W杯フィーバーはどこまで効くか。
posted2019/12/23 18:00
text by
八木葱Negi Yagi
photograph by
Getty Images
ラグビーが危機である。
そう聞くと、怪訝な顔をする人も多いだろうか。
史上初の日本開催だったラグビーW杯は大成功したし、ジャパンの快進撃は国中をテレビに釘付けにした。
南アフリカ戦の視聴率41.6%を抜くとしたら紅白歌合戦くらいのもので、年間での上位入りは確実だ。
大会閉幕から1カ月以上がたっても、その勢いは一見衰えていない。丸の内での凱旋パレードには5万人が集まった。選手たちは年末年始もテレビに引っ張りだこで、リーチマイケルらジャパンの選手たちは、大谷翔平や羽生結弦と遜色ない知名度を得たと言える。
少子化の倍のペースで部員が減少中。
それでも、ラグビーが危機であることは変わらない。ここに高体連が発表しているラグビー部員数の推移を示す表がある。
2003年以降のデータしか公表されていないが、十分に衝撃的なので紹介しよう。
2003年にラグビー部員は全国で3万419人いたが、2019年には2万11人になっている。30%以上が消滅した計算になる。
ラグビー部がある学校も1252校から969校になり、こちらも20%の減少。
この期間に少子化で子供の数が約15%減っているが、それと比べてもラグビー部員は倍のペースで減っていることになる。平たくいえば、子供たちに人気がないのだ。
実は過去16年間でラグビー部員が増えた年は3度あり、どれもW杯の翌年だった。中でも最大の増え幅を記録したのはやはり南アフリカに勝利した2015年大会の翌2016年で、456人が増加している。
しかし2017年を見ると、マイナス1168人。2018年はマイナス732人。
そして2019年は、過去16年で最悪となるマイナス1691人を記録した。合計すると、南アフリカW杯後の4年間で3000人以上のラグビー部員が消えたことになる。
2020年の数字をかなりポジティブに見積もって仮に前回大会の5倍、2000人が増えたとしても、たった2年分のマイナスすら取り戻せない計算である。