欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
南野拓実がザルツブルクで得た宝。
「俺めっちゃサッカー好きやで!」
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2019/12/21 11:50
リバプール相手にボレーシュートを叩き込んだ南野拓実。今度はきっと聖地アンフィールドに熱狂をもたらすはずだ。
2016年、チャンスがこなかった頃。
なんというストーリーだろう。
誇り高き面持ちでリバプールのユニフォームに袖を通す動画を見ると、ザルツブルク時代に決して腐ることなく、いつでも前を向いて取り組んできた姿を思い出す。
2015-16シーズンのこと。同シーズンの前半戦で南野はゴールを量産し、一時はゴールランキングの上位にも名前を連ねていた。
ADVERTISEMENT
ところがチーム成績が悪いことで監督が交代し、気づけば南野の居場所もなくなっていた。練習でアピールしても、十分なチャンスが巡って来ない日々もあった。
アピール=ゴールやアシストという見方が一般的だろう。では、そのためには何をすることが求められるのか。
「グダグダ考えているより先に身体が」
以前、「ゴールやアシストという結果を出すために必要なことはなんだと思いますか?」と尋ねたことがある。少し考えた後、彼はこんなふうに答えてくれた。何度も途中考えをまとめながら、自分の中の葛藤を言葉にしてくれた。
「まずは、試合に出ること。少ないチャンスをものにしないといけない。そのためには、どうやって点を取れるやろ、と考えているなかで開き直ってもう一度やるしかないなって。技術的なところをいろいろ考えて考えて、『なんで取られへんねん、どうしたらいいねん。どういうポジショニングでどうこう』っていうより、いいときはもっと自由にやれていた。
もう1回、その感じを取り戻そうって思いました。
自分が一番うまくいっているときって、そういうメンタル状況だと思うんです。グダグダ考えるより先に身体が動いて、セカンドボールに反応して。そういうゴールもあったし。なんやろ……いろいろ考えるんですけど、ピッチに入ったら、ゴールのために無になるというか。あんまり考えすぎず、自分の一番最初に思いついたイメージそのままのプレーをすれば、ゴールに近づけるんじゃないかと思っていて。それを練習から意識してます。
いま自分としては感覚的にうまくいっていて、ちょっとずつラストスパートというか、ゴールに近づけてる感覚があるんで。だからこそ試合に出たいです。ただ、出られへん試合があったとしても『なんで出れへんねや』って考えるんじゃなく、それはそれで割り切って出たときどれだけその気持ちの状態で試合に臨めるかってことを考えるようにしています」