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長谷部誠、究極の非日常を楽しむ日々。
「命賭けでやるような場に立たないと」
posted2019/12/22 11:50
text by
本田千尋Chihiro Honda
photograph by
Getty Images
終わりの時が近いことを意識する長谷部誠。日々、改めて「サッカーを続ける」意義を考えるという。
「明らかに今は本当に、いわゆる引退に近づいている。サッカー選手としてはね。その中で、何のためにサッカーを続けるのかというのを、よく考えたりします」
12月18日、初冬にもかかわらず夜の匂いが温かいコメルツバンクアレナ――。
ブンデスリーガ第16節。FCケルン戦でフル出場した長谷部は、リーグ戦通算300試合出場を達成した。
アイントラハト・フランクフルトで同僚の鎌田大地は、ただ感嘆する。
「日本人がヨーロッパで、ブンデスで長い間試合に出場し続けていることは、本当にすごいことだと思います。人間性といった部分も関係あると思う。誰でもできるものじゃないし、これから先、出てくる人がいるかどうかの記録だと思いますね」
「本当に、周りに感謝しなくてはいけないですね」
2008年1月に浦和レッズからVFLヴォルフスブルクに加入して12年。
鎌田が驚嘆するように、これだけ長い間ドイツで戦い続けることができる日本人選手は、この先、現れるだろうか。
だが、ケルン戦の後で長谷部は、個人的な記録を達成したことを喜ぶよりも、チームが2点を先行しながら逆転負けしたことを悔やんだ。これで5戦勝ちなしと、フランクフルトが不調に喘ぐ中では無理もない。
「個人的には、そういう数字よりも今日の勝利の方が重要でした。勝ち点3を取れなかったことが非常に悔しいところではあるんですけど、もちろん監督、チームメイト……これまで本当に良い出会いがあったから300という数を重ねられている。本当に、周りに感謝しなくてはいけないですね」