第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
最強エースの配置に注目の東洋大学。
駒澤大学は黄金ルーキーの躍動に期待。
posted2019/12/26 11:00
text by
箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020
photograph by
Nanae Suzuki / AFLO
東洋大学
第95回箱根駅伝(前回大会):3位
18年連続、78回目
今季学生長距離界No.1ランナーの集大成やいかに。
他校を悩ますスーパーエースの区間配置。
文=小堀隆司
東洋大学の元エースが、こう言って太鼓判を押す。
「相澤はすごいですよ。出雲駅伝も区間新、全日本大学駅伝も区間新でしょ。箱根駅伝で2区を走ったら、僕の記録なんてピューって抜いちゃうんじゃないですか」
そう話すのは、マラソンで東京五輪の日本代表が内定している服部勇馬(トヨタ自動車)。雑談の中で後輩について話が及んだ際、明るい口調でこう述べた。表情は笑顔だったが、もちろん冗談ではない。日本のトップ選手が注目するほど、東洋大の現エース、相澤晃(4年)の強さは際立っている。
今季、相澤は出場したほぼすべてのレースで好成績を収めてきた。3月の日本学生ハーフマラソンで優勝すると、4月には5000mで13分34秒94の自己ベストを記録。7月のナポリ・ユニバーシアードでもハーフマラソンで優勝を飾っている。駅伝シーズンに入っても好調を維持し、10月の出雲駅伝は3区で従来の記録を25秒縮める区間新記録の走り、11月の全日本大学駅伝でも前年度に東海大学の館澤亨次(4年)がマークした3区の区間記録を一気に1分8秒縮める驚異的な新記録を打ち立てた。
速さだけでなく、チームに勢いを与えられる走りが相澤の持ち味だ。全日本大学駅伝では前を行く10人のランナーを次々と抜き去り、11位に沈んでいたチームをトップまで押し上げた。トップに立ってなお、スピードを緩めることなく、後続との差を広げた走りはまさに圧巻だった。
当然、来たるべき箱根駅伝でも相澤の走りに注目が集まる。
酒井監督が考える相澤の起用法。
はたして、相澤はどの区間を走るのか――。
他校の監督が今、東洋大対策でもっとも頭を悩ませているのがそれだろう。
エースだから“花の2区”を走るのが当然と考える向きもあるが、12月10日に行われた記者発表会後の囲み取材で、東洋大の酒井俊幸監督は相澤の起用法に含みを持たせた。
「2区に相澤を起用して、みんなのペースメーカーになるのは避けたいですよね。前回と同じ4区なら、前回よりも1分くらい縮められる自信がある。単独走ならもっと離せるかもしれない。昨季はこの時期走れていなかったですけど、今季はしっかり練習ができているので。意外に、相澤を復路に置くのも面白いと思いますよ」
前回の箱根駅伝ではエースの相澤をまさかの4区に起用し、そこで東洋大は2位から首位に順位を上げた。相澤は区間新記録の快走を見せ、後続との差を一気に広げてみせた。「他の大学の4区が薄いだろうと思っていた」という、酒井監督の読みがズバリと当たったのだ。