第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
最強エースの配置に注目の東洋大学。
駒澤大学は黄金ルーキーの躍動に期待。
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箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020
photograph byNanae Suzuki / AFLO
posted2019/12/26 11:00
駒澤大学
第95回箱根駅伝(前回大会):4位
54年連続、54回目
規格外の活躍を続けるスーパールーキー。
大器の片鱗を初の箱根路で見せられるか。
文=杉園昌之
駒澤大学のチーム関係者たちは、そろそろ驚くことに慣れてきているようだ。1年生ながら“規格外”という表現がしっくりくる。
駅伝シーズン開幕前の9月に5000mでチームトップとなる13分41秒82の自己ベストを記録。10月の出雲駅伝は3区で東洋大学の相澤晃(4年)に次ぐ区間2位、11月の全日本大学駅伝では青山学院大学の吉田圭太(3年)らを上回り、7区で区間賞を獲得した。派手な学生三大駅伝デビューを飾った駒大の田澤廉は、メディアだけではなく、先輩たちからもゴールデンルーキーと呼ばれ、走るたびに話題を提供している。箱根駅伝を控えた自身最後のレースでもそうだった。
冷たい雨が落ちる11月23日、八王子ロングディスタンスの10000mで自己最高の28分13秒21をマーク。今季の日本人学生トップタイムで、U20(20歳以下)日本歴代5位の記録である。笑顔でフィニッシュした19歳は、疲れた様子をほとんど見せず、周囲にこう漏らしていた。
「まだ余裕はありましたけど、箱根駅伝に向けてダメージを残したくなかったので」
チームには「田澤ならやるだろう」という空気が流れていた。当初から目標設定は、日本選手権の参加標準記録となる28分20秒切り。大八木弘明監督は好タイムを確認しても、当然とばかりに大きなリアクションは見せなかった。
「あれくらいは出ると思っていました。狙えば、27分台もいけたでしょうね」
マラソンの東京五輪日本代表に内定している駒大OBの中村匠吾(富士通)をはじめ多くの名ランナーを育ててきた指揮官は、秋口から田澤の底知れない能力に舌を巻いていた。
「すべての駒大記録を破るかもしれません。破ってほしいなと思います。5000mから10000m、ハーフマラソンもすべてです」
大八木監督「同じ学生には負けるな」
そのいずれの記録も持つのは村山謙太(旭化成)。5000mは13分34秒58、10000mは27分49秒94、ハーフマラソンは1時間00分50秒。田澤本人も意識しているところだ。大学でまだ走っていないハーフマラソンは「分かりませんけど」と話すにとどめたものの、そのほかには自信をのぞかせる。
「いけると思っています」
レースのたびに大八木監督から「絶対に同じ学生には負けるなよ」とハッパをかけられており、「相当なプレッシャーをかけられています」と笑う。それでも、大きな期待が重圧になることはない。
「注目されて、うれしいです」
多くの報道陣に囲まれても動じることはない。むしろ、あっけらかんとしている。いまも箱根駅伝が待ち遠しいようだ。
「どの区間を任されても区間賞を狙います。区間新記録は最初からは難しいかもしれませんが、行けるところまで行こうと思っています。希望するのは3区と4区」