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最強エースの配置に注目の東洋大学。
駒澤大学は黄金ルーキーの躍動に期待。 

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箱根駅伝2020取材チーム

箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020

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posted2019/12/26 11:00

最強エースの配置に注目の東洋大学。駒澤大学は黄金ルーキーの躍動に期待。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki / AFLO

「2区を走るなら日本人最高記録は」

 エースの力強い走りもあり、東洋大は2年連続で往路優勝を果たしたが、総合優勝からは5年間遠ざかっている。11年連続3位以内という圧倒的な実績を積み上げながら、栄冠を取り戻せないのはなぜなのか。あと一歩の差を埋めるために、復路に大エースを起用してみたいというのは、指揮官の偽らざる本音かもしれない。

 では、当の相澤はどの区間を走りたいと思っているのか。答えは力強かった。

「2区を走るのなら、日本人最高記録は狙いたい。モグス(山梨学院大学卒)さんの大会記録(1時間6分4秒)に少しでも近づけるように、1秒を削り出していきたいです」

 日本人最高記録は前回大会で、順天堂大学の塩尻和也が20年振りに記録を更新した1時間6分45秒というハイレベルなものだが、そこに並ぶだけでなく、さらに上の記録を狙いたいというから、志の高さに拍手を送りたくなる。

 こうなるとやはり、相澤が花の2区で歴代のエースたちにどこまで迫れるのかを見てみたいと思うが、それでも2区と断定できないのは、裏を返せばそれだけ東洋大の選手層が厚くなっている証しだろう。

三大駅伝無冠では終われない。

 師走の風を感じて、調子が上がってきているという西山和弥(3年)を1区に起用できれば、過去に大迫傑(早稲田大学)以来となる2年連続で箱根駅伝の1区区間賞を奪っている実績があるだけに、スタートダッシュが期待できる。そうなれば2区に準エースを置いて「しのぐ」という選択肢も浮上してくるはずだ。また、関東インカレ1部のハーフマラソンで2位、4位、6位に入賞した宮下隼人(2年)、蝦夷森章太(2年)、定方駿(4年)の3人は箱根駅伝の距離でこそ力を発揮する選手と言える。次世代エース候補の吉川洋次(3年)もケガから順調に復帰していて、彼を主要区間に配置できるようだと心強い。

 酒井監督はこうも言っている。

「ここ数年、総合優勝したチームは復路の6、7、8区をきっちり走っています。だからうちもそこは狙っていきたい。往路3連覇はもちろん、総合優勝の奪還が目標ですから」

 選手の駒は揃いつつある。あとは誰をどこに起用するか。戦術に長けた指揮官の腕の見せ所だろう。

 学生長距離界No.1ランナーを擁しながら、学生三大駅伝無冠では終われない。今季の東洋大は、相澤の区間配置と、4年間の集大成となる走りに要注目だ。

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