箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
12月10日は箱根駅伝への運命の日。
エントリーから外れた主力たち。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2019/12/14 11:50
青山学院大学の竹石尚人は自ら辞退を原監督に伝えたという。箱根の厳しさと価値を知るからこその決断だろう。
主力級を抑えてメンバー入りした選手たち。
同時に注目すべきは、落選した主力級の選手を越え、メンバー入りを果たした選手たちだ。
東海大で言えば上尾ハーフで63分34秒の自己ベストを出した羽田智哉(4年)であり、同じく63分10秒の自己ベストを出した米田智哉(3年)。
奇遇にも2人の名前は同じ智哉である。3大駅伝未経験の2人だが、上尾でのレースとその後の合宿中に見せた調子の良さを維持できれば、これからもチーム内にポジティブな緊張状態がつづくことになる。
青学大は、11月の1万m記録挑戦会で初レースながら29分17秒87を出した早田祥也(2年)だろう。ラストの記録会で結果を出した選手がメンバー入りするのは、チームを勢いづかせるものだ。他大学にも最終兵器としてメンバー入りしている選手がいる。
12月10日は、気持ちを切り替える日。
29日の区間エントリー発表までは、監督は10の区間配置の最終調整をしつつ、16名の選手の調子を見極める時間になる。
16名に選ばれた選手は本番に合わせて練習をしつつ、1月2日、3日に向けてピーキングをしていく。
そして箱根メンバーから漏れた主力級の選手たちは、練習で先頭を走って引っ張ったり、チーム内での仕事や雑用などを手伝い、16名をサポートしていく。
気持ちを切り替えるのは簡単なことではないが、12月10日を迎え、彼らはメンバー選考に間に合うか悩み苦しんだ状況からは解放された。
そして、裏方に回る覚悟を決める。そこでの彼らの振る舞いが箱根出走メンバーに刺激を与え、チームの大きな力になる。
箱根駅伝16名のメンバー発表は、そういう日でもあるのだ。